面映いほどに彼女を想う


あれから数日。仕事の合間にLINEをする関係性になった俺たちの心の進展はない。友達以上の関係にはまだなれそうにない。
てか、どうやって進展させたらいいわけ?
今までだって彼女がいなかったわけではないけど、若いうちは流れで付き合うことも多くて、そして心の移り気と共にすぐに別れが来ていた。でも、陽葵ちゃんとはそんな単純で刹那的な恋愛はしたくない。ずっと、大切にしたいと幼心で想っていた人だから。

阿部「じゃあどうしたらいいんだよー……」
佐久間「なになに? どーしたでやんすかぁ?」
阿部「佐久間ぁ……!」
佐久間「おうおうおう!? どったの阿部ちゃん!」

にゃははと笑う佐久間はいつもと変わらない調子で俺の隣に座った。らんらんと目を輝かせて話を聞こうとしてくれる佐久間に投げかける言葉が見つからない。何から話せばいいのか。そもそも話していいのか。そんな自問自答を繰り返していると佐久間が「なんか分かんないけど、こないだのメイクさんが関係してる?」なんて言葉をもらした。

阿部「えっ」
佐久間「あ、図星だ。あの人阿部ちゃんの同級生なんでしょ?」
阿部「うん、小学校の時の」
佐久間「んふふ。そんでそんで?」
阿部「や、えっと………………昔、好きだった……」
佐久間「お、えぇ!?」
阿部「あ、ごめん、うそ、忘れて」
佐久間「え、あ、いや、俺てっきり、今でも好きなんだと思ってた」

きょとんとする佐久間が発した言葉に自分でも顔が赤くなるのがわかった。そう、そうなんだよ。今でも好きで、どうしようもなく焦がれてるから、これだけ悩んで苦しんでる。

阿部「…………今でも、好きだよ」

観念したように言葉を返せば、佐久間は満面の笑みを浮かべて「応援してる!」と言ってくれた。

佐久間「んでもさぁ、めちゃめちゃ少女漫画チックじゃない? 小学校の同級生と運命的な再開! しかもご飯も行って連絡だってしてんでしょ? やばい、シチュエーションだけできゅんきゅんしてくんね!」
阿部「少女漫画か……」

藁にもすがる思いだった。佐久間にお願いして、そういうシチュエーションの少女漫画を貸してもらう。漫画みたいに上手くいくかは分かんないけど、でも手詰まりの現状を考えるとそれしか方法が浮かばなくて。好きな子を前にした時のポンコツっぷりに、我ながら頭を抱えた。