甘やかし上手な君


深夜に家に帰ると、まだ部屋は電気がついていて明るかった。でも、市華はいない。風呂かな。
今朝脱ぎ散らかした服は綺麗に畳まれて置いてあった。その服に袖を通し、今脱いだ服とレッスン着を山にして、畳むかどうしようか悩んでたらドアがガチャと音を立てた。

「あ、蓮くんおかえり」
目黒「ただいま。やっぱり風呂だった」
「うん。蓮くんも入ってきたら?」
目黒「そうする」

下着とパジャマを持って風呂場へ行けば、後ろから市華がついてきて「これ洗っていい?」ってさっき脱ぎ捨てた服の山を持ってきてくれた。

目黒「うん、大丈夫。てかごめん、俺が持ってけばよかった」
「え? ふふ。いいよ、別に」
目黒「ここ入れとけばいい?」
「あ、うん! お願い!」

服の山を受け取ってかごに入れる。「ありがと」って言って出ていこうとする市華の手を引いて「一緒に寝たいから起きてて」ってお願いをする。

「うん、待ってる」
目黒「すぐ行く」

それだけ言い残して、彼女の手を離す。濡れた浴室からは彼女の残り香がして、早く風呂出て本物を抱きしめたいって思った。

目黒「上がった」
「早すぎでしょ」
目黒「何見てんの?」
「え? えへへっ」
目黒「消えた初恋じゃん」

彼女を後ろから抱きしめて視線の先にあるテレビに目を向ける。うわ、しかも最終回だ。なんか照れくさい。

「井田くん可愛いなぁって思って。というか、目黒さん?」
目黒「何?」
「髪の毛、濡れたまんまだよ。風邪ひいちゃう」
目黒「あ……。早く市華んとこ行きたいって思ってそのままにしてきた」
「もう。ちょっと待ってて」

そう言って市華は俺の手をすり抜けて洗面台へ向かった。すぐにドライヤーとヘアオイル持って戻ってきて、俺の首にかかったままのタオルを掴んだ。わしゃわしゃと俺の髪を撫でてタオルドライして、ヘアオイルつけてドライヤーをかけてくれる。

目黒「やば……気持ちいい……。俺、市華に髪乾かしてもらうの好きだわ」
「ふふ、ありがとう。私も蓮くんのつむじ見れて嬉しい」
目黒「何それ」

市華の嬉しい基準ってちょっと変わってる。「はい、終わり〜」と俺の髪を撫でて遊ぶ市華。ドライヤー片付けるのは俺の役目で、戻ってきてすぐ彼女を抱き上げてベッドへ連れ込む。

目黒「ねえ、今日いい?」

こくりと小さく頷く彼女にひとつキスを落とす。今度は俺が尽くす番。