鮮明すぎる記憶と想い
深澤「なぁなぁ」
目黒「なんすか」
珍しくふっかさんが近寄ってきたと思ったら「城崎さんと、どこで出会ったの?」って。
目黒「どこでってー……テレビ局の通路で」
深澤「は?! え、てかいつから付き合ってんの?」
向井「何何、めめの馴れ初め? 俺も聞きたい!」
佐久間「俺も俺も!」
気づいたらドラマ班に囲まれてて、逃げ場はなし。観念してソファに沈む。
目黒「出会ったのは、テレビ局の通路。俺から声掛けた」
今思えばあれは一目惚れだったんだと思う。どうしても、手に入れたいって思った。すれ違って数秒で振り返って、市華に声を掛けた。
目黒「連絡先、聞いてもいいですか」
「……え?」
目黒「あ、すみません。でも、本気です」
「よく分かんないけど、人目は気にした方がいいですよ?」
そう言って彼女は俺との会話を終わらせた。颯爽と歩いていく姿から目が離せなかった。引き留めようと、駆け出した瞬間に市華が振り返って、目が合った。
「連絡先の件なんですけど、次、またここで会えたら、考えてもいいですよ」
目黒「っはい!」
あの時、ふわりと笑った笑顔が忘れられなくて、また会いたいって思った。……いや、絶対会うって決めてた。
深澤「なんで康二が照れてんだよ」
向井「いや、なんかドラマみたいやん? ドキドキせん?」
佐久間「んはは! たしかに!」
深澤「んで、会えたんでしょ?」
佐久間「おいおい! そんなさっくりいくなよ!」
目黒「いやまあ、会えたんすけど」
2回目会えたのは、最初に会った時から数ヶ月くらい後の話で。俺は、あの時の話覚えてたけど、市華がそれを覚えてるかは正直分かんなかった。
目黒「あの、連絡先教えてください」
「え?」
市華の目がぱちぱちと瞬いた。
目黒「前にも、ここで会いましたよね。次会ったら、連絡先のこと考えてくれるって」
「……あ!」
目黒「俺はずっと、貴女のこと考えてました」
「それって、どういう意味ですか?」
誰かいたらやばいなって思って、辺りを見渡してからこっそり彼女に耳打ちした。
目黒「好きです」
ばっと勢いよく市華が俺を見てきて、その顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「急すぎませんか」
目黒「すみません。でも本気です」
「……前も、思ったけど、本当に本気なんですか?」
目黒「本当です」
綺麗な顔がへにゃりと歪むのが可愛くて、腕の中に収めてしまいたくなった。出来なかったけど。
「……スマホ、出してもらえますか?」
目黒「えっ」
「連絡先、交換したいんですよね……?」
目黒「はい!」
こうして俺らは晴れて連絡先を交換することができた。
佐久間「やぁばい! きゅんきゅんする!」
向井「めめやから絵になるなぁ」
深澤「そっから早かった?」
目黒「まあ。俺がすごいアタックして市華が折れたって感じ」
佐久間「んはは! さすが!」
帰ったら市華に聞いてみようかな。あの時のこと、今も覚えてるのか。俺からしたら、忘れることなんてできないくらい大切な思い出だけど。