その細指に触れられない


深澤「本日のゲストは城崎市華さんでーす!」
「よろしくお願いします」

それスノのゲストに市華が来た。今日はバスツアー企画だからちょっとした旅行気分でもある。お誕生日席みたいなところに市華が座るのはいいんだけど、隣がふっかさんなのはちょっと気になる。俺が代わりたいくらい。まあ、そしたらいつもの座席とズレちゃうから仕方ないって分かってるんだけど。

深澤「てか城崎さん、俺同じ高校なんだけど覚えてます?」
「あ、はい。なんとなく」
岩本「なんとなく」
目黒「え、そうなの」

知らなかった。そういう話聞いたこと無かった。そんな視線を彼女に送れば、ごめんと目で謝られた。

「深澤さんは昔から凄くおモテになって……、ね?」
深澤「そう! そうなのよ! 俺、めっちゃモテてたのよ」
「クラスは別でしたけど、噂はかねがね」
阿部「他に共演あるメンバーとかいます?」
「ラウールくんは前に撮影で御一緒したことがありますね」

そんな他愛もない話をしつつ、行先を決める多数決をする。最初は藍染め体験かいちご狩り。市華はいちごが良さそう。そんな感じの顔してる。
結果、無事に全員でいちご狩りに行くことになった。

スタッフ「グループ分けなんですがこうなりました」
岩本「え、城崎さんここでいいんすか?」
スタッフ「同高グループということで」
「よろしくお願いします」
深澤「よろしくお願いします!」

市華の顔、余所行きの顔だなぁって思うんだけどでも羨ましくて。本当は隣に立つのは俺でありたかった。だめだな、仕事中なのに私情が混じってる。
いちご狩り中もちょっと上の空でラウールに「めめ」って何度か声かけられた。あ、このいちご美味い。市華に食べさせたい。……向こうのチームを覗き見たらいつの間に仲良くなったのか、楽しそうに いちご狩りをしてる市華の顔が見えて、胸の奥がちくりとした。

いちご狩りが終わって、しょっぴーがジャム買ってる間こっそり市華の隣に立つ。

目黒「甘いの食べれた?」
「うん、すっごく甘いの」
目黒「なら良かった」
「蓮くんも大きいの取れた?」
目黒「うん、まあ」

周りにバレないよう小声でそんな話をしてるとふっかさんが「何話してんの」って近寄ってきた。

深澤「翔太終わったっぽいよ」
「あ、じゃあ戻らないとですね」
深澤「そーそー。行こ行こ」

ぽんぽんと話をつけてバスへと戻る。一緒にいるのに触れないなんて生殺しもいいところ。メンバーに囲まれる市華を見てると、俺の市華なんだけどって嫉妬心がじりじりと胸を焦がした。