柄じゃないって笑われたって
雑誌の撮影でいつもより少し早くマネージャーが迎えに来てくれた。車内ではラヴィットが流れていて、スタジオで涼太がなんか作ってた。気付けば番組はためスノのコーナーに移り、コーナー内ゲストの紹介がされる。
「おはようございまーす! ラヴィット!」
佐久間「うおー!」
平子「橘怜奈ちゃんでーす!」
は? え、出てんの? 聞いてねえけど。佐久間からも涼太からも聞いてない。え、うわ、まあ樹とかジェシーとかともバラエティで絡んでるしこういうこともあんだろうけど。うわ、なんか、うわあ……。
平子「え、怜奈ちゃんと舘様は高校の同級生なの?」
「ですね!」
宮舘「え? 居ましたっけ?」
「いたよ!? なんなら同じクラスだったじゃん!」
和気あいあいと話しているのを右から左に聞き流しながらスマホに視線を向ける。
佐久間「おっちー! んぉ? 翔太じゃん」
渡辺「朝から音量バカだろ」
でけえ車なのにわざわざ隣に座ってラヴィットを見始める佐久間。「これ楽しかったんだよねー!」なんて呑気に話して。
佐久間「こん時久しぶりに橘さんに会ってさー、翔太の話になったんだよねー」
渡辺「は? なんで俺?」
佐久間「え? 同高なのにそん時いなかったからじゃない?」
渡辺「いや俺呼ばれてねえし」
佐久間「んはは! たしかに!」
けらけらと笑いながら佐久間は「可愛いよねぇ、橘さん」って呟くのを聞いて胸がざわついた。
渡辺「は?」
佐久間「あはははッ! 翔太顔やばいって!」
渡辺「やばくねえし」
佐久間「眉間のしわ、えっぐいことなってっから!」
ふてくされる俺に佐久間がそっと耳打ちをする。
佐久間「橘さんって、ちょっとしたリアクションがすげー翔太に似てんの。なんかそういうの、いいじゃん? 長年連れ添ってる感じがして。あと翔太の話してるときの顔がめっちゃ可愛かった。もうまじ少女漫画」
聞かされた俺の方が恥ずかしい。くすくすと笑う佐久間の声とテレビから流れる怜奈の声を聞きながら窓の外を見つめた。今から仕事だってんのに、理由もなく彼女のこと抱きしめたくなってるなんて、佐久間にはもちろん怜奈にだって言えそうになかった。