つまり、絶対に見つけろってことだろ
渡辺「来週からいないから」
「んぇ? あ、知ってる知ってる。てかそれ言うために電話してきたの? 翔太可愛い〜」
渡辺「ウザっ」
「うわ、辛辣〜」
そう言いながらもけたけたと笑う怜奈。たいして荷物もないけど、遠出だし支度をしながら暇つぶしに声でも聞くかと思って繋げた電話だったのに。やっぱやめときゃよかったかななんて思いながら「お前今何してんの?」って言葉を投げかける。
「ガラライキュのMV見てるよ〜」
渡辺「は?」
「え?」
渡辺「CD買ったの?」
「買ったよ〜! ちょーーー好きっ、あははっ!」
渡辺「お前また酒飲んでるだろ」
「あ、バレたぁ? 今日はひとりで宅飲みしてまーす」
渡辺「明日仕事は?」
「明日は休みで、明後日から地方ですよ〜」
渡辺「えっ」
それは知らなかった。てかどこまでもタイミング悪いな。明日朝イチでマネージャーが家に迎えにくるから怜奈ん家にも行けないし、地方ってどこ行くんだよ。
渡辺「地方ってどこ行くわけ?」
「あれ、言ってなかったっけ? 大阪だよ、大阪!」
渡辺「は!?」
「いやぁ、珍しく自名義が仕事してくれてね」
渡辺「え? は?」
「いやだから、Snow Manのファンクラブ名義だよ」
渡辺「え、お前、ファンクラブ入ってんの?」
「入ってるよ? Maniaも行ったし」
渡辺「聞いてねえし」
「え? 宮舘くんは知ってるのに?」
渡辺「は?!」
なんで涼太が知ってんだよ、俺知らねえのに。
「宮舘くんManiaのとき、手振ってくれたよ?」
渡辺「いつでも手くらい振ってんだろ、俺だって振ってる」
「あははっ、たしかに〜。あ、ねぇ、翔太、ギャルピースしてよ」
渡辺「ぜってーやだ」
「なぁんでぇ〜?」
渡辺「い! や! だ!」
電話越しなのに向こうの顔が余裕で想像ついてしまう。けたけたと笑いながら酒を煽る彼女は小さな声で「楽しみにしてるね」と呟いた。
言われなくても出来栄えとしては良いものになってるし、埋もれてたって探し出してやる……って、こんなん言う柄じゃないな、俺。
渡辺「もう寝ろ」
「えー、いーやーやだやだっ」
渡辺「は?」
「お土産はちいかわのご当地キーホルダーがいいなぁ〜!」
渡辺「いや、お前も大阪来んだろ。自分で買え」
そう言うと彼女は静かになって、無言で俺にちいかわのスタンプを送ってきた。なんか変な顔したやつ。モモンガだっけ。それ。びえーって泣いて慰めろって言うやつ。めっちゃ連打してくんの。
渡辺「うるさっ」
「慰めろよぉ」
渡辺「いや無理」
「じゃあふて寝する」
渡辺「ちゃんと寝ろ」
「翔太もね」
渡辺「ん」
おやすみとかまたねとかそう言った言葉はなしで、通話が切られる。3時間もこんなくだらない電話をしてたのかとひとりで笑いながら荷造りを終えた。ちいかわのキーホルダーだっけ。あいついつからそんなにちいかわハマってんだよ。