※付き合ってるIf
黎「伊織ちゃん」
講義が終わり、声を掛けられる。
振り向けば、想い人。
へにゃ、と顔が緩んだ。
「れーくん! 講義終わった?」
黎「ん、終わった。伊織ちゃんは?」
「終わりまーした!」
黎「じゃあ帰ろっか」
「事務所は?」
黎「寄る? 用事ないけど」
「じゃあいっか。寄り道したーい」
黎「え? どこ行くの」
「んー……、雑貨屋さん、とか?」
黎「え、なんで疑問形? いいけど」
れーくんは優しいからいつでも私に付き合ってくれる。大学近くの雑貨屋さんに行って、れーくんに似合うアクセサリーを勝手に探し始める。
目に止まったのはペアリング。安価だけど、シンプルなデザインがすごく可愛いもの。こういうの、したいなぁって思う半面、アイドルだから難しいよね、とも思って、小さくため息をこぼす。
黎「気になんのあった?」
「ん? ううん。別に」
黎「……これ、伊織ちゃんに似合いそう」
そう言って彼がとったのは私がさっきまで見ていたペアリングだった。照れくさいような嬉しいような気持ちで思わず笑ってしまう。
黎「え、なんかおかしかった?」
「ううん。……ねぇ、れーくん。これ、ペアリングなんだよ。知ってた?」
黎「え、知らなかった」
「これ、私に似合う?」
黎「それはもうとても」
「ふふ、じゃあこれ買おうっと」
そう言ってちゃんとペアで買って、ひとつは自分の薬指に、もうひとつはれーくんの薬指につけてあげる。
「あげるっ」
黎「え、いいの?」
「うん」
左手の薬指に輝くそれを見て、思わず笑みをこぼす。なんだろ、すごく幸せで笑ってしまう。
「いつかもっとすごいの、買ってね」
黎「え!? あー、うん。頑張ります。せめて今のやつの10……いやもうちょい出せるように」
そう言ってふたり、手を繋いで帰路へ着く。ひとりになっても、飽きることなくそのリングを眺めて未来のことを想像してひとりで笑った。