ライブが終わり幕が閉じる。熱狂的なファンの子達を目の当たりにすると、なんとも言えない嬉しさが溢れてきて、全力でみんなを幸せにしたいと思った。でもその一方で、私自身の技術の至らなさをひしひしと感じた。もう少し上手く歌えたら、踊れたら、演奏できたら……。そんなことを考えてると、悔しさが込み上げてきて、それは涙に変わって頬を伝い落ちる。

大光「おい」
「!?……たいこー?」
大光「なにしてんの」
「……なんでもないよ」
大光「お前、泣いてんの?」
「……っ、泣いてない」
大光「泣いてんじゃん」
「泣いてないよ」
大光「泣いてんだろー」

むにーっと私のほっぺを伸ばすたいこー。痛くはないけど、顔が変になりそう。泣いてたって認めろと言わんばかりのその攻撃に、いーっ! と歯を食いしばって対抗する。

「泣いてないのーっ」
大光「……まじで、なんかあった?」
「……何もないよ。ただ、すごく幸せだなって思ったの」
大光「ふーん」
「……でも、ここで満足してちゃ、だめだなって」
大光「そーだな」
「そしたら、出来ないとこいっぱい見つけちゃって、悔しくなって……それで、泣いちゃった」
大光「……やっぱ泣いてんじゃねえか」
「あ……!えへへ、みんなには内緒ね」
大光「おう。……でもまあ、お前はひとりで抱え込みすぎ。なんつーか……もっと、頼ってもいいってか……」

言葉が途切れ、何も言わずに抱きしめられる。ぽん、と頭にたいこーの手が乗っかって、壊れ物に触れるみたいな仕草で触られる。

大光「……ひとりで泣くくらいなら、俺がいる。胸くらい、貸すから、好きなだけ泣けよ」

ぶっきらぼうな言葉が温かくて、ずっと堪えてたものが溢れ出した。時折ぽんぽんと慰めるようにぎこちなく私の頭を撫でる彼。きっと不器用なたいこーなりの優しさなんだろうなぁって、甘んじてその行為を受け入れた。



たいこーのぬくもり