※嶺亜くん視点


嶺亜「伊織ってなんでジャニーズに入ったの?」
大光「ジャニーさんに捕まったからでしょ」
黎「捕まったって。スカウトされたからでしょ」

ふと気になったことを口に出したら、大光や矢花もつられて手を止めて口を動かした。
適当な憶測で話するよりも本人に聞く方が早いんだけど。そんなことを考えてたらタイミング良く伊織がレッスン室のドアを開けた。

「何の話ー?」
大光「お前の話」
「え?」
嶺亜「伊織ってさー、なんでジャニーズ入ろうと思ったの?」
「へ? あー……、あのね、アイドルって、みんなを幸せにするお仕事でしょ?」
黎「うん」
「そういうの、いいなぁって思って」
嶺亜「意外と単純」
「ふふ、私もそう思う」

まだ小さかったしね〜と優しく笑う彼女は心の中で何を考えているのか。伏し目がちに落とした目からは長い睫毛が伸びていて、つい視線を奪われる。

「あとはねー、ジャニーさんがお兄ちゃんたちじゃなくて私を選んでくれたのが嬉しかったってのもあるかなぁ」

ああ、あの兄ちゃんたちか。何度か写真見たことあるけど、ビジュアル的にはジャニーズに入っててもおかしくない感じで。伊織の話だと上の兄ちゃんは頭が良くて、下の兄ちゃんは陽キャでモテモテらしい。3人一緒に歩いてるところをスカウトされたって聞いたけど、なんでジャニーさんは伊織だけを選んだんだろ。

「平凡な私を非凡に変えてくれたのはジャニーさんだから、ジャニーさんに恩返しがしたいってのが、今でもジャニーズでいる理由」

にこにこ笑う伊織。天真爛漫で、どこまでも素直で、誰よりも優しくて誰よりも自分に厳しい。小さい頃から育ってきた環境のせいかもしれない。でも、俺たちはそのおかげで今伊織と一緒にいれるから、そこには感謝してもいいかな。



私がここにいる理由