スタッフ「はい、今回の分です」
「ありがとうございます!」
束になったお手紙を受け取ってスタッフさんに一礼する。まだみんな来ないし、どこかで座って読もうっと。たまにYouTube撮る時に使うソファに腰掛けて受け取ったばかりのお手紙に目を通す。
みんな可愛い便箋持ってるんだなぁ。私のこと考えて選んでくれてるんだよね、きっと。ふふ、みんな可愛い。
『いつも明るくて可愛い伊織ちゃんが大好き!』
『この間のYouTubeの嶺亜くんと伊織ちゃんめっちゃ可愛かったです!』
『たまにはISLANDTVもあげてね🥺』
『いおちゃんがアイドル続けててくれるから私も毎日頑張れてます。本当にありがとう』
痺愛ちゃんたちからのファンレターは全部キラキラした宝物で金平糖の詰まった小瓶みたいに可愛いの。甘くて幸せな魔法がかかってるそれは私の力の源。活動の原動力でもある。
「ふふっ」
橋本「なぁに笑ってんの」
「ん? あ、涼くんだぁ」
橋本「やっほー」
へにゃと笑えばすとんと隣に涼くんが腰掛ける。手紙を封筒に閉まうと「手紙?」と尋ねられた。
「うん、痺愛ちゃんたちからのラブレターだよ」
橋本「あー。それでニヤニヤしてたんだ」
「にやにやなんてしてないよ?」
橋本「してたよ。超顔緩んでた」
「え、本当? ……ちょっと、恥ずかしい」
橋本「いいじゃん、可愛かったし」
ぶんぶんと首を振って誤魔化しても涼くんは笑ったまま。「てかさぁ」と彼は言葉を続けた。
橋本「今度デートしようよ」
「んー?」
橋本「ダメ?」
私が答えるよりも早く「ダメ」という声が投げられた。視界の端に金色の髪が映る。視線を向ければその先にいたのはれーあだった。
橋本「えー、ダメ?」
嶺亜「ダメ」
橋本「伊織も?」
「ごめんなさい……!」
ぺこりと頭を下げる。涼くんは「フラれた〜」っていつもの調子で笑ってた。それに対してれーあが「ドンマイ」って返してて、なんだかつい笑ってしまった。
嶺亜「伊織は俺ら以外とデートとかしないから」
橋本「へー」
「えっ、れーあともデートしたことないよ?」
橋本「って言ってるけど?」
嶺亜「伊織、ちょっと黙ってて」
「はぁい……」
お口チャック。とにかくダメってれーあは涼くんに釘さして、そんなれーあの姿に涼くんはちょっと驚いたみたい。「嶺亜くんがそこまで言うならやめとく」って笑って仕事に戻っていった。
嶺亜「伊織」
「はい!」
嶺亜「危機感無さすぎ」
「でも、涼くんのことだし、冗談でしょ?」
嶺亜「そういうとこ」
むにとほっぺを摘まれてみょーんと伸ばされた。いひゃいの。
「うぅ……」
嶺亜「ちょっとは反省した?」
「うん」
嶺亜「よしよし」
ぽんぽんって頭撫でて「じゃあ今度、俺とデートね」って彼は笑った。「うん」って頷くと「お前本当に反省してる?」ってデコピンされた。