バンド練も終わってみんなが個人の仕事に行くのを見送る。残ったのは私とたいこーだけ。
「たいこー、一緒に帰ろー」
大光「ん」
荷物を持って部屋を後にする。隣に並ぶとなんだかいつもよりたいこーが大きく見えた。20歳になったから?
大光「何じろじろ見てんの」
「ん、なんでもなーい」
大光「はぁ?」
「あ、ねえ、たいこー」
大光「何?」
「20歳になったし、何かしたいこととかない?」
大光「え? あー……、皆と酒飲んでみたい」
「いいね! あ、でも私、れーくんに止められてるんだった……」
大光「まじで何したわけ」
「……分かんない。気付いたら寝てたもん」
大光「やば」
ぽんぽんと私の頭を数回叩いてけらけら笑うたいこー。そんな叩いたら縮んじゃうんだけど……!
大光「んじゃ、今度矢花たちに内緒で酒飲も」
そう言っていたずらっ子の最年少はニヤッと笑った。
「たいこー、ニヤニヤしてすぐバレそう」
大光「そんなんしねえよ」
「本当に〜?」
大光「ニヤニヤしてバレんの伊織の方じゃん」
「しないよ……!」
大光「でも嘘下手じゃん」
「うぅ……、それは……そう、かも……」
大光「絶対隠してくんないとやだ」
「……が、がんばる……」
大光「んじゃ、今度の休みでどう?」
「ん! 楽しみ!」
何が飲みたいかって話をしながらたいこーを家まで送り届ける。私のこと送るって言ってたけど、たいこーを1人にする方が心配だもん。
「肇くんが迎えに来てくれるから大丈夫だよ」
大光「兄ちゃん? 実家帰ってきてんの?」
「ううん。でも今近くにいるんだって。だから大丈夫!」
大光「そ。んじゃ、その、おやすみ」
「うん、たいこーもおやすみ」
大光「約束、忘れんなよ」
「忘れないよ!」
指きりをしてまた「おやすみ」と言ってたいこーとバイバイする。ギリギリまで外で見送ってくれるたいこーのこと、ちょっと可愛いなって思いながら角を曲がる。少し歩いたところにあるコンビニで待っててくれた肇くんと合流して私も無事に家へと帰った。