どれだけ遠くにいても

「こないださあ、SixTONESの動画見てたんだけど」
「まじ? ハマりそう?」
「あーうーん。女の子? いたじゃん? ジャニーズって女アイドルもいるんだーって思ってそれっきり」
「え? あー、成瀬瑠依だっけ。辞めジュでしょ?」
「え、辞めてんだ」
「そー。成瀬が辞めてからストのデビュー決まったからー、成瀬が足引っ張ってたって話もあるよ」
「そうなの?」
「うん。女の子だしねー。パフォーマンスじゃ全然引けとらなかったんだけどねー」

若い女性たちの会話につい聞き耳を立ててしまう。もう私とは関係の無い世界の話。ただ、あの事務所で、あのグループで、7人で活動できたことは、私にとって大切な思い出だし、最高の誇りでもある。……たとえ、どれだけ自分が悪く言われてもそれは変わらない。

『次は西日暮里〜』

ああ、降りなきゃ。人の波を掻き分けて電車を降りて家まで歩く。最寄りのスーパーで買い物をして帰路へ着く。オオカミ少年を横目に買ってきたばかりのチューハイを煽った。……ああ、ジェシー今こんな髪色してんだ。樹は、なんかちょっと疲れてんのかな。忙しいもんね、売れっ子は大変だ。
目に見えない未練を酒で流し込んで、とっとと夢の世界へと溺れてしまう。寝たらすべて気にならなくなる。あの日の思い出も、何も、考えずにいられる唯一の時間。

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