バカレアで共演した6人で組んだのが今のSixTONES。……だけど、デビュー前、俺たちはずっと7人だった。
成瀬瑠依。彼女はジャニーズではごく稀な女性アイドルだった。
なんで俺たちとセットにされたのか分かんねーけど、SixTONESがSixTONESになる前から俺たちは7人でずっと一緒だった。デビューも、7人でするものだと思ってたくらい同じ時間を過ごしてきた。それなのに……。
「なぁにしてんの!」
「や、別に」
こっちから連絡を取ろうにも、いつも既読無視で済ませる彼女とのトーク画面をぼんやり眺めてたら、不意にジェシーに声を掛けられた。
「あ! そーいや、今日って、瑠依の誕生日じゃない?」
「んあ? あー……、そっか。そーかも」
「瑠依に連絡してみる?」
「どうせ既読スルーされんのが落ちだろ」
「DAHAHA!! たぁしかにぃ!」
でも送る、と言ってジェシーは彼女にLINEを送っていた。そしたら数分後「返事きた!」と嬉々として俺にLINE画面を見せてきた。
『ありがとう』と、ただそれだけ。素っ気のないLINEが、今の俺たちと彼女との線引きのように見えて、なんとも言えない気持ちになった。
もっとなんか、アイツに出来たことがあったんじゃないか、もしかしたら今でも7人で笑い合っていたかもしれないのに、って珍しく後悔なんかして。どうにもならない気持ちをティッシュに包んでくしゃくしゃに丸めて捨ててやった。
「あ、もしもしー、瑠依ー? Happy Birthday! AHAHAHA! 元気してんのー?」
何電話してんだよ。てか、なんで電話できんだよ。ジェシーのコミュ力と楽観した感じには心底驚かされる。
「樹もなんか喋る? 代わろっか」
「え? おー。んじゃ、まあ」
「えぁーい!」
スピーカーでジェシーにも聞こえるような状態でスマホが渡される。「もしもし」ってたった四文字を伝えるだけなのに声が震えた。
「もしもし? 樹?」
「おー……。瑠依? あー、元気してんの?」
「まあ、ぼちぼち。樹こそ、こないだテレビで見た時、なんか疲れた顔してたけど」
「え、いつ?」
「こないだのオオカミ少年」
「あー。たぶん徹夜でゲームしてたせい」
「……心配して損した」
「何? 心配してくれてたんだ。瑠依ってばやっさしー」
「相変わらず軽いね」
「あんがと」
「褒めてないし」
「ねえ、瑠依今何してんの」
俺たちを置いて、お前はひとりで何してんの?
今楽しい? どんな顔して誕生日迎えてんの?
会いたい、って喉元まで出かかっていた。
「今? 寝るとこだけど」
そのあっけらかんとした返事にいろんな気が削がれた。
そんなこと聞いてんじゃねえのよ、俺は。
「え、あ、あー……じゃあ、その、誕生日おめでとう」
少し間を置いて、電話越しに彼女がくすりと笑う。
「じゃあって何。でも、ありがとね」
優しい声音は昔と全然変わってなくてほっとした。顔を合わせないようになって2年以上の歳月が過ぎた。変わらないで居て欲しいと思っても、変わっていくことばかりで、時の流れを否が応でも感じさせられる。
ぷつりと電話が切れたのを確認して、ジェシーにスマホを返す。「切れてんじゃん!」って笑うジェシーの明るさに少しだけ救われた気がした。