23で事務所を辞めて2年以上の歳月が過ぎた。
その間に一度も顔を合わせることがなかった大男たちと久しぶりの再会を交わす。
たった2年でも人は驚くほど変わるものだと、私は彼らを見て感じていた。
小学生の頃から肩を並べてきたとはいえ、デビューしてから一層彼らは進化を遂げていた。それはもちろん、容姿に限った話ではないけれど、トップアイドルの彼らと、一般人の自分が並ぶことに多少の緊張はあった。
指定の店は高級感と重厚感があって、私の緊張を倍増させた。個室へと案内され、店員さんの後ろをついて行く。
開かれた扉の先にはこの2年、テレビ越しに見続けていた大男たちが待ち構えていた。
「瑠依ー!」
「うわ、まじで本物だ」
「やば、超久しぶり」
「元気してた?」
「待って、そんないっぺんに喋られても聞き取れないし、ジェシーは離れなさい」
私の存在を認識して飛びつくように抱きついてきたジェシーを剥がして、空いている席に座らせてもらう。
見渡して、あまりにも変わりのない姿に思わず顔が緩んだ。
「瑠依さあ」
「んー?」
「そろそろ京本家に嫁ぐ準備できた?」
「え、だから京本財閥は私には厳しいって。2年前も同じ話したよね?」
「2年経ったら変わってるかなって」
「AHAHA! 瑠依は俺んとこ来るもんねー?」
「いや、それもない。てか本当変わってないね」
「瑠依はちょっと変わった」
「例えば?」
「髪とか」
「見た目の変化でかいよね!」
Jr.時代にずっと短く揃えていた髪は、今ではすっかり胸の長さまで伸びていた。「でも中身は瑠依のまんまだ」って慎ちゃんが笑って皆もそれに賛同してた。
「あ、そうだ。俺、瑠依に会ったら言いたいことあったんだよね」
「何?」
「おかえり!」
「へ?」
「ほら、8・8のとき、瑠依が行ってらっしゃいって言ってくれたでしょ? 本当は終わった後に、ただいま! って言うつもりだったんだけど、あれから瑠依と全然会えなかったから」
「でも、だとしたらなんで大我がおかえりって言うんだよー?」
「だって、今帰ってきてくれたのは瑠依の方でしょ?」
「あー、なるほど、たしかに」
突然の京本ワールドについていけなくてきょとんとする私を置いて、大男たちは話を進める。
そして、何かを思いついた子供のように、にたりと笑った。
「「「おかえり! 瑠依」」」
6人の声が揃う。
いろんな気持ちが綯い交ぜになって、鼻の奥がツンとした。
自ら絶とうとしていた糸に縋った私を咎めることも蔑むこともなく、変わらない居場所でいてくれることがたまらなく嬉しくて、愛おしくて、この6人と出会えたことに改めて心から感謝した。
「ただいま!」