消えないで


佐久間「ただいま〜? あれ? 美彩?」

部屋の電気はついてたのに、返事はない。寝てる? だとしたら電気消さなきゃだし……。風呂とか? だったら急いで俺も突撃しなきゃだしぃ?

佐久間「あ、いた。……え!? 美彩?!」

リビングにいる彼女を見てぎょっとした。だってぼろぼろ涙こぼしてて、俺の顔見て一層ひどく泣き出してしまったから。

佐久間「美彩? なんで、泣いて……うわっ、え、どーしたのー?」
「……いなく、ならないで」
佐久間「んぇ? 俺、いなくなんないよ?」

理由は分からない。でも美彩は俺をぎゅっと抱きしめて離さない。テレビではHELLO HELLOのMVが流れ始めていた。

「……縁の」
佐久間「ん?」
「縁の、大介くんが……、儚くて、消えちゃいそうで、っ、ごめん、なさい……」
佐久間「んははっ」

あんまりにも可愛い理由で思わず笑っちった。大丈夫、そう伝えるために彼女を強く抱きしめる。

佐久間「佐久間さんは何処にも行かないよ〜? 美彩のこと、もう一生離す気ないもん。てか縁見てたの?」
「……縁のMV見てたの。大介くん、かっこよくて、切なくて、儚くて、苦しくなって……、ふふ、気付いたら泣いてた」
佐久間「んひひ、照れくさいなぁ。あ、ねえもっと俺に触って? 消えたりしないから、ね?」
「いいの?」
佐久間「いいよっ」

美彩は三日月形に目を歪めて笑い、俺にキスをした。ちゅ、ちゅう、って、小鳥みたいな啄むキスが可愛くて、たまんなくなっちゃって押し倒したくなった。でも今は美彩がしたいようにさせてあげたい。だって可愛いし。

「いなくならないで……」
佐久間「いなくなんないよ」
「大介くん」
佐久間「ん?」
「好き」
佐久間「んふ、俺も」
「だいすき……!」
佐久間「俺はもっと。……美彩、愛してるよ。俺、美彩置いてどっか行ったりとかしないから」

そんな言葉の後にまた唇を重ねて。そのまま押し倒したりなんかしちゃったりしちゃって。「今日はだめ」って美彩からお預けくらっちゃったから、仕方なく彼女を連れてベッドへと向かう。

佐久間「今日、手ぇ繋いで寝てもいい?」
「……ぎゅって、したい」
佐久間「んふふ、今日めっちゃ甘えたさんじゃん。ぎゅってしちゃう! ちゅーもしちゃう! 腕枕もしちゃおっかなー?」
「ふふ、ありがと。全部盛りでお願いしますっ」
佐久間「じゃあ、おやすみのちゅーしよ? 夢の中でも会おうね、美彩」
「ん、夢でも会って。待ってるから……ね……?」

泣き顔よりも笑ってる顔の方が好き。良い夢を見れるようにと願いを込めて彼女の額にキスを落とす。離れないように、ぎゅっと抱きしめて、もう一生離さないなんて、ハロハロの歌詞みたいなことを考えながら眠りにつく。
夢の中でも美彩は幸せそうに笑ってて、俺もつられてくしゃりと笑った。