いちばんに見せたくて
「やっぱりかわいい……!」
真新しいルームウェアを身につけるだけで気持ちが何倍も上がって楽しくなってくる。
……せっかく可愛いの着てるから、本当は大介くんに見てもらいたいんだけど。あいにく彼は仕事で地方へ行っている。
『お仕事頑張ってね』
そう送ったLINEはアニメのスタンプで返事されたきり。忙しいんだろうなぁ。まだお仕事してるのかな……?
ソファに凭れ、ぱたぱたと脚を動かしながら、意を決してLINEを送る。
佐久間「あ! もしもし! 美彩?」
突然、スマホに映される彼の名前。電話が掛かってきたと理解するのに数秒かかった。そして電話に出れば、聞き馴染みのある彼の声が響いて、なんだか嬉しくなった。
「大介くん、どうかした?」
佐久間「どうかした? は俺のせりふ! 急に自撮り送ってくるから超驚いた」
「ごめんなさい……! 驚かせるつもりはなかったんだけど……」
佐久間「めっちゃ可愛くてやばいの! んねーぇ、写真のやつ、今も着てる?」
「……え? うん、着てるよ」
佐久間「通話のさぁ、カメラ、オンにして? もっと見たいし!」
言われた通りカメラをオンにすると、彼も同じようにカメラをオンにしてくれた。ぱっと明るい表情がふにゃふにゃの笑顔に変わるのが映されてて思わず顔が緩んでしまう。
佐久間「え、めっちゃいい! うわー! なんで俺今美彩んちいないんだろ! 絶対可愛いのに! てかもう可愛い! え、脚出てんじゃん!?」
「ん、出てる。……だめ?」
佐久間「ダメ、じゃない! むしろ俺的には最高なんだけど、でもそれで外出たり宅配便受け取ったりすんのはちょっと……。可愛すぎて皆美彩のこと見ちゃうじゃん?」
「出ないよ。お家の中だけ」
佐久間「約束ね!」
「うん、約束」
お互い小指を出して、指切りげんまんの真似事をして。ふふ、と笑いあって「早く会いたいね」ってどちらともなく言葉を紡いで。
佐久間「明日帰るからさ、そのまま美彩んち行ってもいい?」
「うん! 待ってるね」
佐久間「あ! お土産買ってく! 何がいい?」
「ふふ、大介くんが元気に帰ってきてくれるのが1番かな」
佐久間「んははっ、分かった。すぐ帰るね」
それから他愛もない話をして、名残惜しくも電話を切った。さっきまで響いてた声がすっと消えるのは寂しくて、でも明日会えるからってそれを胸に瞼を閉じる。
翌日、両手にお土産を抱えて帰ってきた彼に「おかえりなさい!」と抱きつけば「んふふ、ただいまぁ」と大好きな声が響いた。