新しいお仕事と戸惑い
何故かソファで正座する俺と美彩。今から何が始まるのかよく分かってないけど、話したいことがあるって言われて、美彩が正座し始めたから、なんとなく俺も正座してる。
「……今度、ドラマに出ることが、決まりました!」
佐久間「んぇ!? 凄いじゃん!!」
「……それでね、あの……」
口ごもる美彩。なんだろ、ドラマ決まる度にこうして報告してくれるけど、こんな口ごもることは今までなかったから、ちょっとドキドキする。
「……ドラマ、恋愛ものでね、その……お相手が、いてね」
そこまで言われてズキリと胸が痛んだ。俺以外の人とキスしたり抱き合ったりする可能性があるってこと、先に断っときたかったんだって察したから。
「……その、お相手さんがね、SixTONESの、田中樹さん、なんだって」
佐久間「え? 樹? え!? 俺の知ってる樹!?」
「……うん」
それはちょっと想定外。いやでも仕事だから……。
佐久間「まぁじかぁ……。作品名とか聞いてもいい?」
「『お嬢と番犬くん』」
佐久間「え! 2人ともビジュアル完璧じゃん!?」
努めて明るくしてみたけどなんか空元気っぽい。樹……樹かぁ……。あとでLINEしとこ。俺の美彩に手出すなー! じゃないけど、まあ彼氏としてちょっと……牽制? みたいな。恋愛赤ちゃんの俺にそんなこと出来るか分かんないけど。
「大介くん……」
佐久間「ん?」
「ぎゅって、してほしいです」
佐久間「んふふ、はぁい」
ぎゅうって彼女を抱きしめて、頭もぽんぽんしてみちゃったりして。美彩は俺の背中に手を伸ばしてぎゅうって抱きしめ返してくれて、胸がきゅうんってときめいた。単純すぎない? でもそんくらい可愛かったから。きっと美彩も不安なんだろうなぁ。
佐久間「いつから放送?」
「えっと……次の冬から」
佐久間「絶対見る! 撮影はいつから?」
「来週から」
佐久間「んじゃあ忙しくなんね。今のうちにいっぱいチャージしていい?」
「ん。私も、同じこと考えてた」
くすくすと笑って、抱きしめ合いながら唇を重ねる。離したくないなぁ。俺が相手役やれたらいいんだけど、全然キャラと違うもんなぁ。……もし樹とキスシーンとかするってなったらその度に上書きしよ。不安はないけど、人一倍独占欲は強いかもしれない。そんなことを思いながらまた美彩の濡れた唇を奪った。