冴ゆる朝に
佐久間「美彩〜」
「何?」
ニットのワンピースに身を包む彼女を後ろから抱きしめて、その肩に顔を埋める。……あ、美彩のいい匂いがする。香水? それとも、美彩自身の香り? どっちでもいいけど、どっちにしても、すげー好きな匂い。
「大介くん、もうすぐマネージャーさん来ちゃう」
佐久間「ん。仕事頑張って」
「ふふ、ありがとう。じゃあ、行ってくるね」
佐久間「……え、あ、待って。その格好で出掛けんの?」
「え? うん」
その格好っていうのは、美彩の格好。着てんのニットワンピだけなんだもん。アウターないと寒くない? あ、でもここ俺ん家だから美彩の服あんまないのか。
佐久間「これ、貸したげる」
「えっ、悪いよ。今日移動は車だし……!」
佐久間「大丈夫大丈夫! 駐車場からスタジオまでずっと暖かいかも分かんないじゃん!? それに、美彩が風邪ひいたらやだから」
ちょっと厚めのアウターを取り出して、彼女に着せてあげる。うん、ワンピースとも合ってていいんじゃない? てか美彩は何着てても超可愛い! さすが俺の嫁!
「……あったかい」
佐久間「でっしょぉ!? んね、やっぱそれ着てこ!」
「借りていいの……?」
佐久間「んにゃっす! どーぞどーぞ!」
「ふふ、じゃあ……、借りるね」
鏡で自分の姿を確認して、ふわと花笑みを見せる美彩。
佐久間「どうかした?」
「ん、ふふっ、なんでもない。お仕事行ってきます!」
佐久間「にゃす! いってらっしゃい!」
ん、と触れるだけのキスをしてお見送りする。本当はあと10回くらいしたいけど、美彩がマネージャーさんに怒られたら大変だから我慢した。
美彩が帰ってきたらたくさんちゅーしよっと。
***
佐久間「たっだいま〜!」
「おかえり、大介くん」
佐久間「んふふ、ただいまぁ」
帰ってきてすぐに美彩とちゅーした。「寒かったよねぇ」なんて言いながらぎゅうってして、そしたら美彩が「大介くんの匂いがする」なんて可愛いこと言ってて、またぎゅうってした。
「あのね」
佐久間「ん?」
「今日、すっごくドキドキした」
佐久間「え? なんで?」
「朝借りたアウター、大介くんの匂いがして、大介くんに包まれてるみたいで……!」
何それ可愛い。照れ笑いを浮かべる彼女に「可愛すぎだろー!」って笑いながらキスを落とす。
「でも、本人には敵わないみたい」
すんと鼻を鳴らして彼女が俺の首の匂いを嗅ぐ。やば、汗くさいかも。気恥しさを覚えながら「美彩」と小さく彼女の名前を呼べば「好きな匂いがする」って微笑まれた。
佐久間「美彩」
気付いたら彼女をソファに押し倒してて、ぎゅうって力いっぱいに抱きしめてた。汗くさいとかそんなの気にならなくなるくらい、頭ん中が美彩でいっぱいでどうしようもなかったから。
佐久間「マジで好き」
「えっ? ん、うん……! ふふっ」
照れくさそうに笑う美彩。少しして彼女は「私も、大好きだよ」と俺の耳元で呟いた。