すれ違ってもA
慣れない髪色。でも彼と同じ色なのがなんだか嬉しくて、しばらくこの色でもいいなぁって思っちゃった。1番に褒めてもらいたかったんだけどなぁ。
お互いに忙しなく仕事していて、なかなか家でもゆっくり出来ないでいた。大介くんは遅くまで起きてることもあるけど、アニメ見てる時は邪魔したくないし、私は帰るなり寝ちゃうしで、お互いの吐息すら感じ合うことができない日々が続いた。
永瀬さんとドラマするんだよ。目黒さんも出るんだよ。そんな話も出来てないうちに、ドラマの公式Twitterが動き始めて、宣伝をし始める。
マネージャー「明日、久しぶりのオフだしゆっくり休んでね」
「はーい。マネージャーさんも、お疲れ様でした」
大介くん、帰ってきてるかな……。鍵を開けて玄関に靴が並んでるのを見て顔が綻ぶ。靴を脱いでるとバタバタと走ってくる音がして、ぱぁっと花が綻ぶような笑みを浮かべた大介くんが出てきた。
「ただいま」
佐久間「美彩! おかえり!」
なんだろ、毎日顔は見てるはずなのに、凄く久しぶりに会った感じがして、鼻の奥がつんとした。
佐久間「んねぇ、ぎゅってしていい?」
「ん」
佐久間「わははっ!」
私の方から思いきり抱きしめて、よろけながらも大介くんはそれを受け止めてくれて。顔を見合わせて、唇を重ねて。お揃いのピンクの髪の毛をくしゃくしゃって撫で合って、何度も「好き」って言い合った。
佐久間「今日、お風呂一緒に入ろ」
「入る……!」
佐久間「寝るまでずっと一緒にいたい」
「うん、一緒にいよ」
佐久間「ちゅーもいっぱいしたいし」
「ちゅーだけ……?」
佐久間「んふふ、明日休み?」
「ん、おやすみ」
佐久間「俺も」
話してるうちにソファまで辿り着いて、ぽんと押し倒される。「今日、寝かせらんないかも」なんて耳元で笑う彼に強めに抱きつく。
「寝たくない……なぁ……、なんて……」
自分で言ってて恥ずかしくなった。でも、大介くんとしたいことも、話したいこともたくさんあって、24時間じゃ足りないくらい。
佐久間「美彩、そんなに佐久間さんのこと煽ってどうする気ぃ?」
「……どうしてくれる?」
佐久間「んふ、俺しか考えられないようにしちゃう」
彼の指が唇を撫でる。雪を溶かすみたいに優しく触れた唇が、ふたりの酸素を奪って、境界線をなくしていく。
夢なら覚めないでと、何度も願いながら、彼の唇を食んだ。