告白
『結婚願望はありますか?』
『理想のプロポーズは?』
『理想の家庭像は?』
雑誌でよくある質問にここまで悩んだのは初めてかもしれない。書くことは決まってるんだけど、茉白とって考えるとなんかいろいろ妄想しちゃう。そういえば、そんな話茉白としたことなかったな……。
仕事を終えて家に帰る。ベッドで眠る彼女の寝顔はあどけなくて可愛い。彼女の薬指に自分の指を絡めて、指で輪っかを作ってその大きさを測る。
岩本「ちっちゃ……」
「……ん、ひーくん?」
岩本「あ、起こした?」
「んふふ……、おかえりぃ……」
岩本「ただいま」
鼻先を擦り合わせて唇を食む。このまま襲ってしまいたい気持ちを堪えてベッドへ潜り込んだ。そっと彼女を抱いて、髪を撫でて眠りにつく。
翌朝、仕事に向かう茉白を見送って、俺はふらりと街へと向かった。本屋で茉白が出てる雑誌を見て、Tarzanを横目に結婚雑誌を手に取る。……へえ、今ってプロポーズリングってのもあるんだ。エンゲージリングは2人で選びたいし、サプライズでプロポーズするならこっちの方がいいかも。気付けば宝飾店にまで足が向いていて、彼女に似合うリングを真剣に探していた。気持ちが先走って、でも凄く楽しくて、ふと笑みが溢れてしまう。
店員「そちらのデザインであれば、今出しているものの他にこういったお色味の宝石と変更も可能ですよ」
岩本「へえ……」
暫く悩んで、でもそれに決めた。出来上がるまで少し日がいるらしくて、その日はそのまま帰路へ着いた。
忙しなく日々が過ぎ、宝飾店から1本の電話を受けた。プロポーズリングがやっと出来たらしい。早めに仕事が終わったからその足でリングを受け取って、最近出来たチョコレート専門店でチョコを買って駆け足で家へ帰った。
岩本「ただいま」
「おかえり!」
岩本「あれ、早いじゃん」
「うん。ひーくんも早いね」
岩本「ん。チョコ買ってきた」
「わ! こないだ出来たって言ってたところ?」
岩本「そう」
「今食べる?」
岩本「うん。食べようかなって」
「じゃあコーヒー入れるね」
他愛もない会話にすら愛を覚えて、ふわりと笑ってコーヒーを入れる彼女を後ろから抱きしめた。
岩本「……茉白」
「んー?」
岩本「結婚、しよう」
「……えっ」
誤ってやかんに触れようとしてた手を握り、ガスを切って、ソファまで連れていく。膝の上に彼女を乗せて、「茉白の残りの人生、俺にください」と囁いた。左手の薬指にリングをつけてやれば、俺の手の甲に雫が落ちた。
「……心臓、飛び出しそう」
岩本「出たらちゃんと戻したげる」
「……いいの? 私で」
岩本「茉白以外に考えられないから」
「死にそう……」
岩本「だめ。死なせない」
「幸せ。……私も、ひーくんの人生、もらって、いいですか?」
岩本「ん。全部あげる。俺の全部、余すとこなく受け取って」
勢いよく彼女が抱きつく。首に頭を寄せて甘える彼女の髪を撫でて、腰に腕を回す。
少しして離れた彼女がじっと俺を見つめて、ふわりと花笑む。その顔が少しずつ近付いて、そして重なった。
「指輪、可愛い……っ」
岩本「んふ、そう?」
沢山泣いて、沢山笑って、幸せそうな顔をしてリングを眺める彼女。良かった、サイズもデザインも、茉白によく似合ってる。
「ひーくんの、メンバーカラーだね」
ふふ、と嬉しそうに笑う彼女の指に光るリング。ダイヤモンドとトパーズが並ぶリングを愛おしそうに彼女は見つめた。
岩本「エンゲージリングは2人で決めよう」
「うん……!」
指切りげんまんをして、でも指は切らないまま、絡め合って、唇を重ねる。ソファになだれて、寄り添ったまままたキスをする。「愛してる」とどちらともなく囁いて、とめどなく溢れる多幸感に溺れていった。