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『Snow Man 岩本照、シャイな消防士役で映画単独初主演!』

そんなネット記事を見たのは今朝のこと。若くて可愛い、今をときめく人気のタレントさんを容易にお姫様抱っこしてる彼の写真に胸が苦しくなったなんて、そんなこと言えるわけもない。すごく大きくてひーくんにとって大切なお仕事で、おめでとうって言うべきなのに嫌な感情の方が先行して私を襲う。……今日、仕事じゃなくてよかった。ひーくんはもう、お仕事に行っていて、家には私一人。家のあちこちに転がっている彼のものを見るたびに、今朝の記事を思い出して、泣いてしまいそうになる。左手に光る指輪すらも、私の涙を誘う。

「…っ、ふ……うぅ……」

堰を切ったように目からこぼれる涙を拭ってくれる人はいない。止まれ、と願っても叶わず、目尻を伝い、頬に流れ、顎を伝って手の甲に雫が落ちていく。大丈夫、って抱きしめてほしい。茉白だけだよって、キスしてほしい。ひどいわがままだと分かっていても、願わずにはいられない。

「ひぃ……くん……」
岩本「何?」

とうとう幻聴まで聞こえるようになってしまったのかと思った。でも、そうではない。振り返った先にいたのは、心から望んでいた彼の姿で、嬉しさと寂しさと言葉にはできない苦しさが綯い交ぜになってまた涙が溢れた。

岩本「ねえ、なんで泣いてんの」
「なんで、いるのぉ……」
岩本「仕事、リスケになったから帰ってきた。ねえ、なんで泣いてんの」
「……ごめん、なさい」
岩本「何が?」

私の頬を袖の端で拭いながら、彼はじっと見つめて目を逸らさない。困ったように見つめ返せば、小さく首を傾げられた。

「……嫉妬、した」
岩本「え?」
「映画、お祝いしなきゃなのに、それよりも先に、嫉妬した……」

嫌なやつだよね、私って。そう言おうとしたのに、彼はすごく嬉しそうな顔をしてぎゅうって力一杯に私を抱きしめてくれた。

岩本「やぁばい、何それかわいい」

へにゃへにゃと笑って私の頬にキスを落とす彼。なんで、そんなに喜んでるのかはわからない。「私、嫌なやつなんだよ……?」って尋ねると「ん?」と不思議そうに首を傾げられた。

岩本「俺は嬉しいけど。茉白が嫉妬してくれて。てか、俺だって茉白が仕事で男と絡む度に嫉妬してる。俺なんかが簡単にできることじゃないところで、茉白が頑張ってるのは分かってるけど、それでも、茉白が茉白の声が、誰かを好きって言ってんの聞く度狂いそうになるくらい」
「……そう、だったの?」
岩本「黙ってたけど」
「……言ってくれてもよかったのに」
岩本「茉白も言っていいんだよ。嫉妬したとか、そういうの。そういうとこも全部ひっくるめて大事にするって誓ったんだから」

そう言ってひーくんは私の左手に唇を押し付けた。くすぐったくて、甘酸っぱくて、愛おしくてしょうがない。

「ひーくん、お願いごと、してもいい?」
岩本「何?」
「お姫様抱っこ、してほしい、です……」
岩本「ん、離せそうにないけどいい?」
「離さないで……ほしい……」
岩本「ん、分かった」

簡単に私を抱き寄せて、頬にキスを送る彼。「他にしてほしいことある?」って満面の笑みで尋ねてくるひーくんの首に縋って耳元に唇を寄せる。

「ぎゅってして、たくさん、ちゅーしたい。頭も撫でてほしいし、ずっと傍にいてほしい。茉白だけだよって言ってほしいし、本当は他の女の子なんて見て欲しくない。私だけのひーくんでいてほしい。こんなわがままばっかりだけど、私のこと、嫌いにならないで、ほしい……」
岩本「だから、嫌いになんかならないって。茉白だけだよ。世界で一人だけ、俺のかわいいお嫁さんなんだから、ちょっとくらいわがまま言っても嫌いになんかならないし、全部叶えてあげたい」

さっきよりも力強く抱きしめられて、視線が絡む。どちらともなく寄せた唇が重なって、深くなって溺れて。頭の中も心もひーくんでいっぱいになって他のことなんて考えられなくなってしまう。目が合うだけで「かわいい」って頭を撫でてくれる彼が愛おしくて、何度もキスをねだった。もっと、もっと近づきたいのに体が障壁となって私たちに境界を作る。いつかこの体も心も溶けきってひとつになれたら、なんて笑われそうなことを思いながら、またひとつ彼の唇にキスをした。