深夜
夜中にふと目が覚めたのはついさっきのこと。隣で静かに眠る茉白の寝顔を眺めてても一向に睡魔は襲ってこない。彼女を起こさないようにベッドから抜け出し、ベランダへ出て煙草に火をつける。
ふ、と煙を燻らすながら明日のことを考える。仕事、昼からだからまあまだ起きてても大丈夫か。
「……ひー」
ぽやんとした声が後ろから掛けられる。振り向けば眠たそうに目を擦る茉白がそこに立っていた。
岩本「起きちゃった?」
「んー……」
とてとてと歩いて俺の元に近寄ってきて。上目遣いで俺を見つめる。
岩本「煙草くさいかも」
「ふふ、ひーくんの匂い……」
彼女はぎゅうっと抱きついて顔を埋めた。眠い時の茉白って普段の何倍も甘えん坊で可愛い。小さく欠伸をする彼女に「寝る?」と聞けば小さく首が縦に振られた。
「起きたらね、ひーくん、いなかったの……」
岩本「ごめん、目冴えちゃったから」
「ん……、消えちゃったかと思った……」
なにそれ、可愛い。しゅんとする彼女を抱き寄せてベッドに潜り離れないように身体をくっつける。
岩本「もうどこにも行かないから」
「ん、約束」
ちゅう、と可愛いリップ音がして、唇が離れる。「苦い……」とこぼす彼女に「ごめん」と言いながら、その唇を奪った。ほろ苦いキスの味と共に微睡みが訪れる。目が覚めたらもっとめいっぱい彼女を甘やかそう。そう思いながら、目を瞑った。