愛してると心から叫んだ


ピンポンとインターホンを鳴らす。煩いくらい心臓が跳ねるのはきっと急いでここまで来たせいだ。「はーい」と何も気にせず出てきた彼女は俺の顔を見てひどく驚いていた。

「涼太くん……? なん、で?」
宮舘「透華に会いたくて」
「へ、ぁ、でも、今、部屋汚くて……」
宮舘「掃除するよ」
「でも、あの……」
宮舘「ごめんだけど、今日は帰らないから」

そう言うと彼女は観念したのか俺を部屋に通してくれた。汚いなんていうけど、これまでの部屋に比べればだいぶ片付いていて少し面食らった。

「あ、あの、ね」

俺が口を開くよりも早く、彼女が言葉を発した。

「あのね、私、最近自分で掃除するようになったの。ご飯も、涼太くんほど、美味しくは作れないけど、少し気にするようになった」

たしかに、言われてみれば以前に比べてほんの少しだけ顔色はいいように見えた。でもそれってつまり、俺はもう用無しってこと?

「涼太くんにばっかり、頼ってちゃ、だめだなぁって……」

上目遣いで俺のことを見る彼女。ただ、俺は、俺の欲望で、彼女を手放したくなくて、離れそうになった体ごと彼女を抱きしめた。

宮舘「……なんで? もっと頼ってよ」
「でも……」
宮舘「俺は透華に頼られたい。幼馴染としてじゃなくて、一人の男として叶えられることは全部してあげたい」

そう言って彼女を見つめれば、胸に埋められていた顔が俺の目を捉えた。困ったような顔が、ふにゃりと歪んで、目の端から一筋の雫が頬を伝う。

「嫌にならない?」
宮舘「ならないよ」
「ずっと一緒にいてくれる?」
宮舘「透華が望むなら。……まあ、離れるって言われても無理だけど」
「嬉しい」

いつからだろう。壁がなくなったのは。
二人の間にあった果てしない壁が、気付いた時にはなくなっていた。ほろほろと涙を流す彼女の髪を撫でながら、それまで胸に秘めていた愛の言葉を囁き続ける。耳を赤くして、顔も赤くして、潤んだ瞳を向ける彼女が愛おしくて、俺の気持ちを唇に乗せて彼女に与えた。
俺の気持ちはこんなのじゃまだ何億分の1にしか満たないけれど。これから先、この愛で彼女を埋め尽くすことができると思えば、それもまたいいか、なんて静かに笑った。