ゼラニウムの花言葉


西畑「最近どうなん? 湊月とは」
向井「え? 聞いてくれる〜? 昨日もな、みちゅと電話したんやけど、もう可愛くてしゃーないし気付いたら寝落ちしてた」
西畑「うん。待って? まだみちゅって呼んでんの? 名前で呼んだりせんの?」
向井「いや、あんな……、それがな……。恥ずかしいねん……」

ぽつりとこぼした言葉にだいちゃんからの辛辣な「は?」が飛んでくる。泣いてまうで、俺。てかこの話メンバーにもしたけど、しょっぴーとめめも同じ反応やったな……。

西畑「湊月は?」
向井「じーこ先輩って」
西畑「2人ともそのまんまなんかい! もー、そんなウブな感じなん? 見てるこっちがもだもだするな」
向井「俺かて頑張ってるよぉ……! 見捨てんといて」
西畑「見捨てはせんけど。たまには名前で呼んだら? 康ちゃんかて、名前で呼んでもらえたら嬉しいやろ?」
向井「めっちゃ嬉しい……」
西畑「湊月かて同じこと思っとるんと違う?」
向井「そう、やろか。……でも、頑張ってみる……!」

グーサインを出して「ダメやったらまた話聞くわ!」と笑うだいちゃん。有難いけど、ダメやったらなんて言わんで……! 不安になるから……!!

その日の晩、みちゅが俺ん家に来てくれて、2人でご飯作って食べた。ドキドキしながらソファで並んで座って映画見始めたらみちゅが可愛い声で「じーこ先輩っ」って俺の事呼ぶんよ。

向井「な、何でしょうか?」
「なんで敬語?」
向井「や、だって……」
「ふふ、まぁいいです。あのね、じーこ先輩」
向井「ん、何……?」
「大好きっ」
向井「ふはっ、んもう、なんやの、急に」
「どうしても今言いたくなって」

照れ笑いするみちゅが可愛くて、ぎゅうって強く抱きしめてその顔を俺の胸に押し当てる。そしたら、背中に腕がまわってきて、みちゅもぎゅうってしてくれた。言うんやったら今かな……。どうやろ、心臓うるさい。ドキドキしすぎて、みちゅに……、湊月に……伝わってたら、どないしよ。

向井「あんな……」
「ん?」
向井「俺も、好き。大好きやねん、湊月の、こと」

はじめて、彼女を名前で呼んだ。恥ずかしくて、顔見れんかったけど、意を決してその顔を見つめる。……わ、湊月、顔真っ赤。りんごみたいなっとる……。

「見ないで、ください……っ」
向井「いやや」
「はずかし、から……っ」
向井「俺かて恥ずかしいよ」
「……もう1回、名前で、呼んでほしい、です」
向井「湊月」
「……はい、じーこ先輩」
向井「ふふ、ずるいやん。俺のことも、名前で呼んで……?」

湊月の唇がきゅっと締まる。潤んだ瞳が俺を見つめる。あかん、可愛すぎる。

「……康二、さん?」
向井「……っ! あかん、なぁもう、それ、ずるい」

上目遣いで、さん付けで名前で呼ばれて、うるさいくらい高鳴る鼓動を抑えて、彼女の頬を撫でた。

「康二、さん……?」
向井「湊月……」

吐息が混じる。視線が絡んで、言葉にしとらんのに、たくさんの好きが伝わってきて、それに応えるように唇を重ねた。

「康二さん……っ、ん……」
向井「湊月、好き、大好き……っ」

康二さんって呼び方、めっちゃきゅんきゅんすんねんけど、でも、康二くんの方がきゅんてするかも。あー、でもじーこ先輩呼びも好きやし、康ちゃんって呼ばれたかったりもするし、康二って呼び捨てにもされたかったりする。
綺麗に伸びた髪を指先で弄んで、何回もキスをした。映画の内容なんて、これっぽっちも覚えてないっていったら映画に失礼やろか。……しゃあないやん、湊月が可愛すぎるんが悪い。