シロツメクサの花かんむりが似合う君


仕事が終わって家に帰ってソファでだらりと投げ出す。滝沢くんからの呼び出しはなかったけど、不安は拭えとらんし、ファンの子にもなんて言ったらいいんやろってそればっかり。そんな俺の不安を察したのか、スマホが震える。着信相手は、みちゅだった。

「あ、もしもし。じーこ先輩?」
向井「みちゅ? どうかしたん?」
「あ、えっと遅くにすみません。マネージャーさんとかから聞いてると思うんですけど」
向井「ああ……」
「本当にすみませんでした! 私、全然気付いてなくて、じーこ先輩に迷惑かけて……」
向井「何言っとるん! 迷惑やなんて思ってないし、てか気付いとらんかったんは俺もやし……!」

みちゅが謝ることやない。守れんかったんはむしろ俺の方や。……男として不甲斐ない。ってか、普通に1人の人間として不甲斐ない。

向井「どこまで聞いとる?」
「え、マネージャーさんたちで話するってくらいでその後のことは……」
向井「そうなんや、俺も……」

そこで言葉が止まる。「あんなぁ」と言いかけて、また止まる。

「……なんですか?」
向井「や、なんでもない」

どさくさに紛れて告白しようとしてなかったか、今の俺。あかんやろそんなん。もっとこう、全部すっきりして、そっから言いたい。

「こんなん言うのもあれですけど」
向井「何?」
「撮られたんがじーこ先輩とで良かった」

え、何それ!? どういう意味!? なあ、どういう意味なん!?! 俺の頭ん中も心臓もはち切れそうなんやけど!!

「あ、ごめんなさい。不謹慎ですよね」
向井「や、え、あ、ううん……、ええねんけど、でも、その……」
「私、じーこ先輩のこと好きです。こないだのディズニーも、だいちゃんに、じーこ先輩も誘ってみん? って私から言い出して……」
向井「待って!? ちょ、待ってな!」

嘘やろ!? え、ほんま!? とりあえず、今こんな状況で、みちゅから告白されるなんて思っとらんかったし、俺から告白せんでええのかって気持ちもあるし。ほんで黙ってたら、みちゅが「ごめんなさい」って呟いて、電話が切れる音がした。

向井「やってもうた……」

どないしよ。今すぐみちゅんち行くべきか。てか行ってもいいもんなんか。頭ではそんなこと考えてんのに体はもう出かける準備を始めてて、夜の街を急いで車を飛ばして彼女の家を目指した。