お昼休みを忍君と教室で過ごしていると、おそらく購買へ行っていたなまえが大量のお菓子を持って駆け込んで来た。そして俺の机にごちゃごちゃと袋から取り出して並べて説明し始めた。それに釣られて司君も寄って来て、忍君もなまえの説明を聞き入っていてどうしてこうなった。
「ちょっと、ちょっと待ってよ!」
「何?どうしたの?あ、これね、ゆうた君にピッタリだと思って買って来た!」
渡されたのは唐辛子のイラストが描かれたチョコレート。なまえ、俺には辛い物与えとけば良いと思ってるな。結局止める事を諦めた俺の机には甘い物からしょっぱい物、果てには酸っぱい系のお菓子が積み上げられていた。こんなに買って来て、なまえは食べきれるんだろうか。
「これ見てよ、リアルなカエルのフィギュアが付いてくるキャラメル」
「なぜFrogなのでしょう?需要があるとは思えないのですが」
「そんなの考えてないでしょ、あくまでオマケだからね」
「いらないなら拙者欲しいでござる!」
「いいよー、あげます!」
なんだかんだ楽しくお菓子を食べていると、姫君が教室に戻って来て盛り上がってる俺の机に寄って来た。
「桃ちゃん!!桃ちゃんも一緒にお菓子食べましょう!このグミとか美味しいですよ!」
「そんな庶民が食べるような物いらないけどなまえがどうしてもって言うなら食べてもいいよ!」
「どーしても!みんなで食べようよ!」
なまえが誘うと嬉しそうな顔をしてから、ツンとした顔に戻ってなまえの座ってた椅子に無理やり座った。落とされたなまえは何の躊躇いも無く俺の膝の上に座ろうとしたから頭を叩いた。少しは遠慮してほしい。椅子の半分を明け渡す。
「ゆうた君となまえちゃんはいつも仲が良いでござるな!少し羨ましいでござる」
「でもゆうた君、忍君だったら膝に乗せてたと思うよ?」
「日頃の行いの差ですね」
「それより、ケーキはないの?ケーキ!」
なまえから椅子を奪った張本人である姫君が早く早くとなまえを急かす。それにピッタリなのがある!とガサゴソ机の上のお菓子を漁ると、ポテトチップスの袋を姫君に渡した。
「これね、苺のショートケーキ味のポテチ!ケーキをご所望の桃ちゃんにピッタリ!」
「芋がケーキの味になるわけないじゃん!」
「というか、それよく買ったね…」
今回は姫君の意見に賛同せざるを得ない。ナポリタン味のアイスを連想させるチョイスだから、かなり食べたくない。塩でいいよ、ポテチは。
「えー、美味しいのに。ちゃんとね苺のショートケーキの味がして、その後にポテチの味も楽しめる一粒で2度美味しい一品なのに」
「ちょっと何言ってるかわからないでござる」
食べる?と一つ渡されたが甘いのはいらないと俺が断ったら、司君に執拗に勧め始めた。ごめん司君。君の犠牲は忘れない。
「よく見るとあんまり美味しくなさそうなのが結構混ざってるでござるな」
忍君の言葉に机に広がっているお菓子のパッケージを見ると、ジンギスカンキャラメルとかポテトチップスバナナ味とかわたあめ味のパイとか柚子胡椒味のチョコレートとか、わけわからない味のお菓子ばっかりだった。
「こんなの購買に売ってるのが驚きだよね」
「ボクこの普通のグミ食べよう」
クマの形をしたグミを手に取り、勝手に食べ始めた姫君はこういうお菓子食べたことあるのだろうか。司君はよく食べてるのを見たことあるけど。でも姫君がグミ食べてるのはとても似合ってる。
「ほらほら、口開けてよ。あーん!」
「やっ、やめてください!んー、」
「ちょっと!イチャイチャしないでよ!」
「はーい、桃ちゃん隙ありー!」
司君に苺のショートケーキ味のポテチを食べさせようとしていたなまえが、口を開いた姫君の口にそのポテチを入れた。その瞬間に顔を歪めた姫君だったけど、モグモグしていくうちにその歪みが緩和されていって、最終的には笑顔になっていた。
「美味しいじゃん。え、ボクこれ好き!」
「でしょ!みょうじも好きなんです!!」
「二人の味覚がわからない…」
なまえと姫君がきゃっきゃっしながらお菓子を食べてる様子は、別に見ていて不快な気持ちにはならないけど。なんていうか微笑ましいかもしれない。
「そういえばなまえ殿、週末にあんず殿のお出かけするからダイエットすると前言ってたけど、それはもう終わったんでござるか?」
忍君が問いかけた疑問になまえは明らかに動揺していた。さっきまでの笑顔が引きつっている。その表情を見た俺たちはまさに「あっ…(察し)」状態で、誰も何も言及することなくなまえの弁解を待った。
「……あんず先輩とデートって事は覚えていたんだけど、…つい、お菓子が目に入ってしまって……この一週間遠ざけていたのもあって…こらえきれずに……」
「一週間も耐えられないなんて意思弱すぎ」
姫君に容赦無く言われ、すでにしょんぼりしているなまえに司君がでは…、と話しを切り出したんだけど、きっとなまえにとって残念なお知らせだろう。
「これらは私達が全て食べておくので、安心してdietに励んでください!」
「まっ、待ってよ!司君!!」
「仕方ないな、ほらこれあげるから」
最初に渡された唐辛子の描かれたチョコレートを渡すと、途端になまえの目から涙が溢れて来た。
「みょうじ、辛いの食べれないぃぃ……」
「だろうと思った」
味覚に関して、なまえはアニキと似ている。いや、性格も似てるかもしれない。あぁだから妙な親近感があったのかもしれない。と考えてる間にも司君と姫君がなまえの前からお菓子を取り上げていって騒がしい。忍君にとばっちりが来る前にどうにか収めなくちゃな…。
青春したい子この指止まれ
(チョコだけはっ…チョコだけはぁっ!!)
(そんな気持ちじゃ痩せませんよ!)
(うぅぅ、それいつも瀬名先輩に司君が言われてるやつぅ…)
((Knightsも賑やかなんだなぁ))
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NEVER LAND