こころの在り処



突然だけど私の隣には誰も座らない席が用意されているが、寺坂君の隣には用意されていない。この事に前から疑問を感じてはいたけれど、先日たまたま殺せんせーと雑談をする機会があったからその事を聞いてみたら、

「リンさんの隣は赤羽カルマ君の席ですよ」

とさらっと教えてくれた。赤羽君といえば、椚ヶ丘中学で一番の不良だと有名だ。私は1年の時に同じクラスだったけど、あんまり関わりは無かった。渚くんは仲良くしてたみたいだけど、…というか最後の列の生徒は暴力的な問題児を並べた感があるな。不本意だけど。
ああ、そういえば余談ですけど、烏間さんに頼んでいた物が出来上がったんですよ。対殺せんせーのナイフに使われている殺せんせーが苦手な物質?よくわかんないけどダメージを与えるそれを使って靴を作って貰ったのだ。渚君も以前言っていたように、私は足技の方がナイフより慣れてるから靴に仕込みをしたら殺すまでいかなくてもダメージを与えられるかもしれないと考えたのだ。見た目も履き心地も普通のローファーだから殺せんせーも気づいていないだろう。赤羽君は頭のいい不良。もしかしたら殺せんせーをサクッと殺してしまうかもしれないから、赤羽君が停学開けて来てしまう前に私も暗殺してみようと思っている。



「ただどうやって蹴り上げるかが問題なんだよね」
「それを僕に言われても、いい案なんて出せないよ」
「渚くんが作戦を考えて望月が実行する。そして2人で100億を山分けって予定だったのに」


他力本願だった私が悪いが、世の中上手くいかないようだ。仕方ないから一人でどうにか作戦を考えて実行しないとな、なんてぼんやり考えてみるけどあんまりいい考えは浮かんでこない。みんな色んな暗殺を試しているの本当にすごいなぁって思う。私はそういうアイデアが全然思いつかない。


「リンちゃんってちょっと変わってるよね」
「そう、ですか……?」
「悪い意味じゃなくてね、なんて言うか上手く表現できないけど、1年生の頃より今の方がいいよ」


1年生の頃って、唯一の友達の幼馴染みとも離れて目立たない様にしていたんだよね。目をつけられないようにあんまり不良が居なそうな、真面目な私立にってこの椚ヶ丘中学校を選んだ。エンドのE組に来てからは、楽しくてありのままでも大丈夫そうだなって思っているけど。


「それを言うなら、渚くんも今の方がいいよ」
「うん、そうだね。ありがとうリンちゃん」


渚くんも1年生の頃より自然に笑っているように見える。髪型も今の方が似合っているし。校舎裏で膝を抱えて微笑みあっていると、殺せんせーがいつの間にか隣にいて「内緒話に先生も混ぜてください」と頬をピンク色にしていた。それに驚いた私は尻もちをついた勢いで殺せんせーに向かって蹴りを入れたが軽々避けられた。




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