月の光が部屋の中を照らす。今日はやけに明るく輝いている。れおくんとリンはさっきまで団子を食べて騒いでいたのに、気づけば二人で並んで寝ていた。もう夜は冷えるからこのまま寝ていたら風邪を引いて俺が看病させられるんだろうから、面倒だが二人の部屋から掛け布団を持って来て適当にかけてやる。
「セッちゃんからは、リンに言わないの?」
夜は元気なくまくんが残りの団子を食べながらこっちも見ないで問いかけてきた。そんな事聞かなくても俺の返事がわかっているんだろう。
「リンの事はれおくんに任せてるから俺はリンにいう事はないけど…。そういうくまくんが言いたい事でもあるんしゃないの?」
くまくんがリンを宝物のように大切にしている事は、俺もれおくんも知っている。くまくんとは以前から顔見知りであったし、交流もそれなりにあったから二人より長い付き合いになるが、くまくんが此処に居座るきっかけはリンが拾って来たからに他ならない。きっとその出会いで、くまくんはリンに懐いたんだろう。一応心配だから、と言っていたが、実際は心配で昼も寝ないでリンの気配を探っているのを俺は知っている。
「…俺はリンが楽しそうに笑えるならそれでいいんだけどね〜」
寝ている二人を見つめるくまくんはとても穏やかな表情をしていて、かつて人間というだけで忌み嫌っていた同じ者だとは思えない。それは自身にも言える事だが、それはこの際置いておく。
「ヤな噂を聞いたんだけど…」
「なに、急に改まって」
「望月の家がリンを探してるらしいよ」
「………なんで今更?」
リンを望月の家から連れ出したのはもう十何年も前の話で、今の今まで望月はリンを探してなどいなかったというのに、何かリンが必要な用事ができたのだろう。しかし、こちらもそう簡単にリンを手放す訳にはいかない。
「満月の子の能力を欲しがってる人がいるらしいよ、誰かまでは知らないけどねぇ」
「れおくんが知ったら怒りそうな話だねぇ」
リンの力が膨れ上がって自分じゃ制御出来なくなるのを、望月の家が待っていたとしたら。満月の子の力で何度も町が壊滅してきたのを見てきた俺は、町が滅んだ後の満月の子も見てきている。
「セッちゃんは優しいから、きっと人間は殺せないでしょ。なら王様が殺るしかないじゃん」
王様、そういうの躊躇いなく殺るからね〜。あいつには力があってそれを自分で自覚して制御出来てるから、そこらにいる普通の人間なんてれおくんの敵ではない。力のある人間なんて、人間界では生きづらい。れおくんもリンもそういう運命の元に生まれた。
「れおくんの力も、そこまで安定してないから不安ではある…」
「ふふ、悩み事ばっかりだねぇ」
「笑い事じゃないんだけどぉ」
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