あんなに気まずくて帰りたくなかったけど、お腹は空くからいつもと同じ時間に社に帰って来てしまう。体内時計は変えようと思って変えられるものではないという事だ。気まずいままなのは嫌だけど、もしかしたら帰ったらレオさんも何事も無かったようにいつも通りかもしれない。今までがそうだったように。
「俺はそのレオさんを良く知らないから、リンにいい助言をしてあげられない。けどさ、リンがレオさんを大切なのもレオさんがリンを大切なのも、話を聞いてるだけでわかるから」
ゆうたくんはそう言って見送ってくれたけど、大切に思っていてもそれを素直に上手く表現出来ないから今の状態になっているわけで。ああもうどうしよう。
「おかえり、リン」
「…凛月くん。ただいま」
「きっと帰るのやだなって考えてるだろうなって思ったから迎えに来てあげた」
凛月くんがこうして迎えに来てくれるの最近多い気がする。私の思っていた事をズバッと当ててみせた凛月くんは私に手を差し出してくれた。凛月くんが来てくれたおかげで帰り易くなったから、素直にその手を取り暗くなった山道を歩く。
「セッちゃんが“おまじない”掛けてくれるって」
「おまじない?」
「そう、リンの力を抑えるおまじない」
今日のご飯は炊き込みご飯だよ、みたいな感じで言われてもなんて答えるのが正しいのか分からない。
「王様とかセッちゃんはのろいって言うけどさ、おまじないって言った方が良く聞こえるでしょ?」
字も一緒だしね、と笑みを見せる凛月くんはきっと私の事を励ましてくれてるんだろうな。凛月くんはとても優しい人だ。あれ、でも人間じゃないから優しい鬼か。
「ありがとう、凛月くん」
「ん。ちゃんと王様と仲直りしないとね」
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