「気まずい時に限って仕事が無いんだよー!」
珍しく早く帰って来たと思ったら、リンの事を気にしすぎでとてもウザい。ゴロゴロと畳の上を忙しなく転がり、着流しがみっともなくはだけている。そろそろれおくんは床を転がる癖やめた方がいい。
「ちょっと邪魔なんだけど。リン帰ってきたら呪い掛け直すんだから」
「あー、うん。そうだよな、そうなんだけどさー。」
「何なのさ!はっきりしなよ、チョーウザいから!」
それからしばらくあーだのうーだの言って会話にならなかった。そんなことしてるとリンが帰って来てそのだらしない姿を見られるんだからな。くまくんが迎えに行ってもういい時間が経っているんだから。
「呪い掛けるのさ、少し待ってくれない?」
「……あんた、それどういう事かわかってんの?」
「んー、早く掛け直した方がいいのは分かってるんだけどさ、なんて言うかさ、あー、適切な語彙が見つからないー!!」
れおくんが何を伝えようとしていたのか分からなかったが、言わんとする事は伝わったような気がする。つまり、れおくんはリンの事を信じようとしているのだろう。朝餉の後に町に行ったようだけど、またあのオカマの所に行って何か言われたに違いない。アイツお節介だから。
「呪いは掛けるよ。力が暴走して辛いのはリンなんだから」
「あー、うん……。そうだよな…」
「…そんなに気がかりなら力の制御の仕方、教えてあげればいいんじゃないの?」
まあ、れおくんが完璧に制御できてるかは別だけどねぇ。リンには内緒にしながら力をある程度制御出来るようになったのは、誉められる事だと思う。
「んー、んー」
「うわ、何してんの王様。着物すごいはだけてるじゃん」
「うおっ!?リッツ!!」
襖を開けて顔を覗かせたくまくんがゴロゴロとしているれおくんを見てその表情を引きつらせている。というかくまくんがいるという事はリンも帰って来ているという事で。
「ただいまです」
「待ってリン。みちゃダメ」
くまくんがリンの目を両手で覆い視界を奪う。帰って早々視界を奪われたリンは何が何だか理解できていないようだが、そりゃそうだ。急いではだけた着物を直してリンと向き合って座る。
「なあ、おれは今からお前に残酷な事を言う。だけど最後まで話を聞いてほしい。全部話し終わったらどんな罵倒も受け容れるから」
れおくんはフッと息を吐いてから俯き気味だった顔を上げると、リンは悲しいような痛いような顔をしていたけど、目線だけは真っ直ぐれおくんを見ていた。
「教えて欲しいです。私の事、私だけが知らないのはもう終わりにします」
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