レオさんはゆっくり話し始めた。
何年かに一度生まれてくるという満月の子について。人間は愚か鬼や妖怪も慄く程の霊力をその身に宿し、何度も町を滅ぼしてきたって。それがその満月の子が望んで滅ぼしたのか、望まずに滅ぼしたのか分からないけど、レオさんが私から目を背けて悲しそうにするから私はその物語の結末をなんとなく察してしまった。
「レオさん、大丈夫ですよ」
「……リン」
「大丈夫です。だって私には泉さんも凛月くんも、…それにレオくんも居るもの。他の人達とは違います」
「だから、教えてください」
出来るだけ笑顔で伝えたはずだけど、レオさんの悲しそうな顔が変わらないから私は笑えてなかったのかもしれない。それでも私はレオさんに笑って欲しい。いつもみたいに太陽みたいな笑顔で私を導いて欲しい。
「おれ、ダメだな。リンにいつも我慢させてばっかりで、笑ってほしくてあの屋敷から連れ出したのにこんな悲しい顔をさせてる」
レオさんは右手を私の左の頬に添えて、親指で目尻を撫でた。やっぱり私は笑えてなかったようだ。違うよ、レオさん。私我慢なんてしてないよ。
「ごめんな、リン」
「レオさん…っ」
「ちょっと2人ともさ、落ち着きなよ」
涙が溢れて言葉が出て来ない私に変わって、凛月くんが空気を変えてくれた。私とレオさんの頭をゆっくり撫でて、いつ取ってきたのか林檎を差し出した。
「とりあえず林檎食べようか」
「剥いといてあげるから、アンタ達顔を洗っておいで。2人ともブサイクになってるから」
「……セナ酷い」
レオさんと水汲み場まで行き顔を洗う。私が屋敷の小屋で閉じ込められていたのもきっと『満月の子』のせいで、そして私はきっと他の人より長くは生きられないんだろうな。
「リン、」
「なんですか?」
「実はね、おれも、満月の子なんだ」
リンが持つ
霊力には遠く及ばないけどな。と顔を拭きながらレオさんは何でもない様に言った。
「おれがセナと一緒に暮らしていたのは、満月の子と知った親から捨てられたから。たまたまセナがおれの事拾ってくれたんだよ」
「捨てられて……?」
「うん。だからさ、同じ満月の子としてリンの事放っておけなかったんだよなぁ」
人間の世界で暮らさないのは何か事情があるんだろうなって思っていたけど、そんな理由があったなんて思ってもみなかった。
「リンの
霊力貰ってあげられたら良かったのにな」
ALICE+