月が破壊されたとニュースや新聞を埋め尽くしたそんな春休みが終わって新学期になって旧校舎へ辿り着くと、月を破壊した張本人が教壇に立っていてこれから彼(?)が私達の担任になるという。防衛省の烏間さんが色々説明してくれていたが、どうにも頭に入って来なかった。黄色いクネクネしたそれは、アカデミックドレスを着ているがその姿は異様としか言えない。まるで宇宙人のようだ。
「この怪物を君達に殺してもらいたい」
殺してほしいなんてこの人は何を言っているのだろう。私が理解出来てないだけで、クラスメイトは順応性が高いのかもしれない。と思ったけど皆声を揃えて「なんで!!??」と叫んでいたから混乱してるのは皆一緒のようだ。
「成功報酬は百億円!」
地球の未来をかけた報酬なのでそれは妥当だと烏間さんはいうけど、百億なんて額現実味がなくてピンと来ない。というか、今その怪物に弄ばれてる様子を見るとこんなの殺せるのかとても不安である。烏間さんの様な大人の男の人が殺さない生き物を、いくら人数がいるからと私達は中学生だ。殺せだなんて。
「ちょっと現実味がないんだよな」
「うん、すごいびっくりしました」
「リンの席はまだ距離あったんだからいいじゃんかよー」
「莉桜ちゃんの席前の方だもんね。お疲れさまです」
あの担任になった先生、すごく早く動くから前の席の人に風とか凄く来てたし。私の席は何故か寺坂くんの隣りではなくて、真ん中の一番後ろでお誕生日席のように一人だけ弾き出されたような席。寺坂くんでもいいから隣に誰か居てくれたら良かったのに、真ん中に一人は少し寂しい。でも机は隣に置いてあるからいずれ転校生とか来るのだろうか。
「でもこんなんでホントに殺せるのかね?」
「本物のナイフ渡されるよりはゴム製で良かったって望月は思います」
「リンはなんか危なっかしいからね」
生徒それぞれに配布された対先生のナイフならBB弾とかエアガンとか、サバイバルゲームで使用する様な言うなればオモチャにしか見えない。お兄ちゃんだったらこういう物も扱えたりするのかな。でもなんでって言われた時の良い言い訳が思いつかないから聞かないけど。
「んー、とりあえず頑張ってみよっかな」
百億円とか貰えたら嬉しいけど、でもそれより来年も生きていきたいし。
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