思えばそこからだった



椚ヶ丘中学3年E組は、暗殺教室だ。今日も莉桜ちゃんとか磯貝くんとかが積極的にナイフを片手に暗殺を試みている。私はナイフ捌きに自信がないし、まだちょっと他のクラスメイトと馴染めてないからその様子を見てる事しかしていない。


「確かにリンちゃんは足技が得意だもんね」
「それ絶対に誰にも言わないでくださいね!」
「この教室なら隠す必要無いんじゃない?」
「望月はか弱い女の子ですから!」


潮田くん改め、渚くんはあの時の「誰にも言わない」約束を守ってくれている。E組に落ちた理由なんてクラスメイトは聞いて来ないから、そうバレる事もないと思うけど。でも渚くんは「E組に堕ちたの僕の所為?」と聞いてきたから一応違うと言ったものの、きっとあの時ことが原因だと気づいているだろう。


「でも僕よりリンちゃんの方が先生の事殺せそうだよね」
「きっと夏には渚くんの方が向いてるってなりますよ」


別に渚くんが暗殺者っぽいっていう訳ではないけど、私はお兄ちゃんとの喧嘩で得たハッタリのような強さだから、渚くんが色々経験を積めば私なんかの強さはあっさりと抜かれてしまうだろう。こんななりしてるけど、渚くんも一応男の子な訳だし。


「でも望月もちょっとした作戦があって、今烏間さんにお強請り中なんです」
「リンちゃん、暗殺あんまり乗り気じゃないのかと思ってたけど、ちゃんと作戦立ててたんだね」
「ふふふ、私がコロっと殺してあげますよ!」


でもまあ今は完成待ちなんですけどね。それまではみんなの暗殺を見て弱点とかを観察する事になる。人間観察はあまり得意ではないけど。


「そういえば明日僕が日直なんだけど、朝のHRの時に先生が入って来たらみんなで一斉に射撃をしようって提案されたよ」
「数打ちゃ当たる作戦?」
「あー、多分そんな感じ」


確かにみんなで一斉に射撃をしたら当たる確率は上がるよね。的は自分たちより大きいし、あの触手の一本くらい仕留められるかもしれない。でも私の席からだと先生の足元を狙うのは難しいからとりあえず、


「前のみんなに当てないようにしなくちゃですね」
「うん。そうだね」





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