※「ココロ」番外編
藍染様にむつきを呼んでくる様に言われ、むつきにあてがわれた部屋に足を運ぶ。
中に足を踏み入れば、白を基調としたモノクロの空間に一部にだけ色が付いていた。
それは、ベッドの上で寝息を立てているむつきで、其処だけが俺の目にはヤケに鮮やかに映る。
しかし、それは気のせいだと自分に言い聞かせ、起こす為にむつきに近付いてみれば、閉じられた眼からは光が浮かんでいた。
(…泣いているのか)
理解した瞬間に、自然とむつきの目尻に浮かんでいる涙を指で拭っている俺が居た。
何故という戸惑いと、指に伝う生温い温度に小さく眉をしかめる。
何故泣いているのか…など、否が応でも解ってしまう。
今のむつきの脳内はきっと、黒崎一護の事で溢れているのだろう。
此処に来る前の事でも思い出しているのかも知れない。
どちらにせよ、互いに想い合っていた仲だからこそ藍染様は黒崎一護を誘き出す餌として、むつきを自身の手元に置いたのだ。
だが、何故泣いているのか分かっていると言っても、所詮は表面上の話だけだ。
その閉じられた目蓋の裏には何を映し、霧の掛かった脳は何を思い、"心"という物は何を感じているのか…真相は本人にしか知り得ない。
……どちらにせよ俺には関係の無い事だ。
それなのに
(泣くな)
そう思わずにはいられなかった。
同時に、胸の内からじわりじわりと何かが溢れてくるのが分かる。
お前が奴の事で泣く必要などありはしないのに、何故…と。
自分でも驚く程に、黒崎一護に対する嫌悪感がありありと伝わってくる。
そんな言いようの無い気持ちを断ち切るように、俺はむつきを本格的に起こすべく彼女の身体を揺すった。
- 20 -
← →
dream
top
ALICE+