ヤツメとうな子
午前深夜の短編集ねくすと!





ヤツメ
「…………ひッく」

うな子
「あれ、しゃっくり?」

ヤツメ
「しゃっくヒッ……これが伝説の……? ヒッっく」

うな子
「えっ、もしかしてしゃっくりなったことない? これが初めて?」

ヤツメ
「ああ。初体験さ。これで私も非しゃっくり処女、横隔膜を貫通された思いだよ。
しかし、ヒッ、これは、ヒッ、想像以上に、ヒッ、喋り辛いな」

うな子
「話は変わるけど、昨日貸したジュース代返して」

ヤツメ
「あれ? ヒッ、声が……ヒッ、遅れて、ヒッ、聞こえるよ……?」

うな子
「聞こえねーよ。いいからジュース代返せや」

ヤツメ
「いやいやいや、そうは言いますけどね。ヒッ、この、ヒッ、しゃっくりが治らない事には如何ともし難いと言わざるを得ませんよヒッ。ほら、ヒッ、こうヒッヒッヒウィッヒヒー言うてはったら何も手につきまへんでヒッ」

うな子
「うーむ、それもそうね。しゃっくりを治す方法……水を飲むとか?」

ヤツメ
「そんな非科学的な民間療法なんて信じられるか。しゃっくりが発生する原因くらい、うな子だって知ってるだろ?」

うな子
「横隔膜が痙攣しているからだよね」

ヤツメ
「はあああああああああああああ!?!!
言うに事欠いて横隔膜の痙攣んんんんんんんんんんーー????
おいおいおーいおーーい??!?!
お前は一体今までの人生において何を学び何を掴み取って生きてきたんだぁぁぁぁあああああ?!!!?」

うな子
「な、なによ。違うって言うの?」

ヤツメ
「もうね。違うとか違くないとか、そんなレヴェルの話じゃないね。
とんでもねー勘違い侍も居たものだって感動さえ覚えるね。
あのね、うな子が言う『しゃっくりの原因は横隔膜の痙攣』ってのはね、例えるなら『横隔膜が痙攣するからしゃっくりがでる』って言ってるようなモンなのよ!!!」

うな子
「ようなも何も、そう言ってんだよ阿呆。ていうか全然例えになってねーよジュース代返せ」

ヤツメ
「ゥあぁん!!? ここに来てまだジュース代の話を蒸し返すかね! この小娘が!!
この際ハッキリ言うわ!
言いたく無かったけど心を鬼にして言うわ! ハートをデーモンにして言うわ!
いい? 『ジュース代返して』ってのはね。例えるなら宇多田ヒカルに『テトリス御上手ですね』って言うのも同義なのよ!!」

うな子
「例えが一ミリもカスってない上に褒め言葉だよ!?」

ヤツメ
「はああ!? だったらアンタ宇多田さん家のヒカルちゃんに『テトリス御上手ですね』って、そう言えるって事なんだよなぁ!? ぁあ!」

うな子
「余裕で言えるし許されるならサインの催促したいくらいのシチュエーションだわ」

ヤツメ
「つまり、自分のほうがテトリス上手いぞ、と?」

うな子
「言ってねえ」

ヤツメ
「ぁっ……。そっか、うな子ちゃんテトリス弱そうだもんね……。テトリスが弱いからジュース代みたいな小さい事をネチネチネチネチ言ってしまうんだね……。友達なのに今まで気付いてあげられなくてごめんね。テトリス弱者のうな子……。」

うな子
「はああああああああああああ!!?
言うに事欠いて私がテトリス弱いいいいいいいーー????
おいおいおーいおーーい??!?!
お前は世界のテトリス史に名を刻む勢いの私という人物を前に何をぬかしとるんかいのぅ!??!?!」

ヤツメ
「上等だぁ……すこぶる上等だぁ!
だったら面倒な言い争いはもうヤメだ! おいうな子! やい! テメェ! コラ! このアタイと勝負しろ!!」

うな子
「クククキケケ……! いいぜぇ〜、私もヤツメとは一度、キッチリ勝負してぇ思ぉとったんじゃよん!
どっちが上か白黒付けようで!!!」

ヤツメ
「おもしれえ! いつの間にかしゃっくりが治ってたオラが実力、見せてやんよぉぉオー!!」







二人の少女による激しい対決。
強大な力のぶつかり合いによって天変地異が巻き起こり、それによってムー大陸は海の底に沈んでしまったと現代に伝えられている。







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