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 萎びれた荒野。
 湿る、鈍った嗅覚に嗅ぎ慣れた鉄の臭いがする。
 何処を見回しても景色は変わらない。廃れた荒野、生々しい軍服の死骸と硝煙と吹き抜ける風に髪が靡く。

 呆然と虚無に眺めて、見回したその荒野に目に写るものは軍服、生の赤、捨てられた兵器、軍服、生の赤、捨てられた兵器、仲間、軍服生の赤捨てられた兵器、視界にちらつく靡いた黒煙のような髪。

 あぁ、呆然と震えそうになってくる、脚に感覚があるのかと不意に目に入った足元は確かに己が立っている、仲間、確か隊の副総長アキム、完全にうつ伏せでAK-47は彼の手元にある。
 彼が最後になんと吐いたかいや、君は何をしていたのかとナチがフラッシュバックするのも頭の片隅で遠いだろう、心臓から咲く血液は花より遠く口から血が吐き出され、また15秒ほどで誰かを撃った、撃った、撃たずとも後方の援護射撃もある、撃った撃った、数が減るのは見ればわかる、じゃぁ…。

 己がいま何をしているのか凍えそうになってくる。

 この震えはどこから来る、脚か思考かわからないわからない歯がなる、引き潮のように高揚が退く、凍えそう、気付いてはならない、気付いたら叫び出す、それでも時は動く、手にしたライフルは勢い剰って棄てた、どうして、私はとそのライフルを破棄した右手が震えて眼前に、頬に触れようとするが目に付く、

 血塗れだ。

「はっ、」

 息が、止まった。

 懐から滑り取るハンドガン。
 臓腑か恐怖か後悔か疲労か喉頭か覚悟か、塞き止められた濁流のような誰かの叫びとフルオートの慟哭が、蟀谷《こめかみ》に響いた。

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