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「君の場合は出血がありました、性器が男性の物とは違うわけで、科学的に言えば、「エストロゲン」と「プロゲステロン」、この女性ホルモンは男性にもあるわけですが、プロゲステロンは男性には少ないわけです」
「突然ですか南沢准教授」
ビビった。
至極真面目な顔でベットに座るように促されたかと思ったら何。だからなに。
「いや突然でなく男子にプロゲステロンは」
「はい、すみません、あんたが変態なの忘れてましたどうぞ続けてください」
「はい。
で、ですね。何故君が生物学上女性なのかと言う話ですが、普通の男性よりこの「プロゲステロン」の数値が高いからに他ならないのですが君が男性的な体であったのは男性ホルモン、「テストステロン」が女性より高いからに他ならないわけでして」
「はぁ…」
その話。
むちゃくちゃ眠くなりそうじゃないか?
「プロゲステロンというのはですね、男性ホルモンを抑制する働きがあるのですが、女性観点からすれば子宮にまぁ、着床しやすい状況にするホルモンなわけですよ」
「眠い」
「もうちょっと。
対するテストステロンというのはですね、骨格や筋肉、陰毛を作るわけでして。エストロゲンは、うーん、女性らしい身体を作るわけです。おっぱいとか。男性でもホルモンバランスが崩れればエストロゲンが増え、おっぱいが出来るわけでして」
「おっぱいへの執着すごくないですか南沢さん」
「当たり前ですよ、俺、男だよ?
で、俺はその観点から考えました。
君のホルモンバランスはですね、プロゲステロンがやけに多く、しかしテストステロンも女性より多い。
普通はこのバランスはプロゲステロンがエストロゲンと協力して女性らしくなるわけですが、いわゆる、女性ならばエストロゲンの方がプロゲステロンより数値が高いはずなんですが」
「待って、わかんなくなってきた眠い」
「そう、その集中力低下!それはまさしくプロゲステロンの副作用なわけです!
しかし君はおっぱいがない、骨格が男性だ。しかし毛がない、これはつまりプロゲステロンの効果!そりゃぁ生理は来るんですよ!」
「で」
「しかしエストロゲンと男性ホルモン代表、アンドロゲンというやつは主に精巣、卵巣が大きく関わるわけです。アンドロゲンをエストロゲンに変換するのが卵巣でして」
見えてきたぞ。
「つまり君は生理が来たことにより、ホルモンバランスを調節してくれたエストロゲンが果敢に今活躍中かと思われますが、どうにも、違うわけですね」
「ん?」
「これからどっちに転ぶか。
恐らくですけど、プロゲステロンが多過ぎてエストロゲンが減少している。つまりはアンドロゲンも減少しているわけで。
しかし女性より多いテストステロンが、今の君を保っている。これはつまり、理論的にですよ?
生理痛が酷く重いのだろうと、何故か、男性ホルモンがエストロゲン減少により増え、テストステロン、プロゲステロンともにある副作用、倦怠感などが増量すると考えます」
つまり。
「ねぇ、聞こうと思ったんですが俺、血が多くないかとか、死んじゃうんじゃないかとか思ったわけですよ」
「その通り!死んじゃうんです!」
「なにぃぃい!」
腹に響いた。
うわ、今出た。わかった。
「はは、良いリアクション」
「待って俺死ぬの?」
「貧血でね」
死因貧血。
なにそれカッコ悪すぎる。
「だからクエン酸を」
「なるほどなんでこんなに血が出るの」
「プロゲステロンです。
恐らく男性ホルモンも多いため、いま物凄くその…子宮内膜を剥がしに掛かっているのではないかと感じます。加えて君の場合は先程申した通り、アンドロゲン。女性ならエストロゲンに変換されるやつ。これが変換しきれないから減少、プロゲステロンが暴れているわけですが毛がない。これはまさしくプロゲステロンの仕業。なのにテストステロン、地肉を作るわけですがこれも多いのです。出血多量になっちゃうかもと思いますが、多分いまだけ。
テストステロンの助けがあり、生理が一気に始まり一気に終わるかも。君は月一生理が来たらこれと戦うわけです」
「なにそれええ」
「なので一気に気分が沈む、自律神経がやられる、やる気がなくなる。
しかし1日でしょう、という仮説を立てました、以上なので今日は俺の家に泊まりなさい」
「えっ」
「しかし不定期に来ることが考えられます。最早家に住みなさい」
「は?」
話がついていけない+話がすっ飛んだ。
自己完結されたがなんだ、つまりは。
「女性ホルモンの卵巣のやつと男性ホルモンの精巣のやつが多い、という結論ですか」
「そうです。しかし女性器なのでバランスを保ってくれるアンドロゲンが少ないため、エストロゲン、女性っぽく変換がされていないと言うことです」
「なるほど〜」
半分くらいは理解したかもしれない。
いやつまり?
「俺はそれを根拠に性はなんなの」
「両性です。極めて少ない確率ですが妊娠する可能性がある両性です」
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