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「さぁてまずは…、船の種類から行きましょうか。僕の部屋に行きましょう」
と、言われてついて行ってみたら。
「な、何これ…」
連れて行かれた先の扉を開けた瞬間、本、本、本と、よく分からない物、本、紙、よく分からない物、拳銃、よく分からない物の壁。
最早なにがどうなってこの部屋が形成されているのか、さっぱり理解が出来ない。
「えっと…確か…」
入るのが怖くて流星が入り口で立ち往生しているも、熱海はお構いなしに最早どこから取り出したか分からない脚立に乗って本を漁り始めた。
探すのにいくらか崩れ落ちるのは構わないらしい。何冊か崩れてきて。
「あっ」
一つ山が決壊。
これは多分ヤバい。ここにぶちこまれて、もしも地震が来てしまったら自分は埋もれて圧死する。
「あの、熱海さん」
「はい、はーい、どうしまし…たかっ、あっ!」
「あぁ…!」
またどこか決壊。声を掛けたのが災いしたらしい。
「…あんた死んじゃいますよ」
「んー?」
「あー、よそ見しちゃダメ!」
倒壊。
「もうわかった!俺片します!マジ退いてください」
「いや、それは流石に悪いですよー」
「いや俺死にたくないんで。頼むから片付けさせてください」
それから見事2人で三時間、黙々と部屋を片付けをして。
「すごいねぇ」
見違えるように全て本棚に収まった。
本棚があるなら最初からなぜ使わないのかも甚だ疑問で。
「で、熱海さんピックアップがこの5冊なわけね」
分厚い洋書と和書を受け取って机に置き(そもそも机まで存在した)、流星はキャリーバックから大学ノートを出す。
「では、また」
熱海を追い出し、流星は一人その書庫に籠ることにした。
「…素質あるなぁ」
変態の。
変態が認めただけある。彼、壽美田流星は結構曲がった変態だと、曲がった変態である熱海ですら思った。
それから2時間くらいは取り敢えず彼を放っておき、その間に熱海は熱海で仕事をこなしていた。しかし…。
「熱海二佐…」
部下の一人が指揮官室の扉を、困った顔をして叩いたのだった。
「はい、何かありましたか?」
書類に無差別に判子を押していきながら熱海は顔をあげる。それも見慣れた景色なので部下は気にせず、「あの、船が…」と口籠って報告。
「船?」
「はい…あの…。茅沼様の…」
「あぁ、流星くん?彼なら僕の書庫に」
「…貴方の本を片手に只今船におります」
思わず熱海は笑ってしまった。
「え?それ指揮官は?」
「大変お怒りでございます」
「でしょうな。面白いからそのままでも」
「ダメですよ!」
「…はいはい」
なかなか骨が青年だ。骨があって尚且つ曲者だ。昔の自分達を見ているようで大変厄介。
熱海は腰を案外軽々と上げ、船に向かった。
なんとなく彼は一つくらいやらかしてくれるだろうと思っていたから。
船に向かう道すがら、熱海は部下に、試しに一つ聞いてみた。
「君さ」
「はい」
「どうして海軍になったの?」
「まぁ…」
この部下はまだ、20代前半位である。実務経験はなし。
「一度自衛隊に行って、就職が微妙だったんで」
なんてほざきやがる。
「なるほどねぇ。自衛隊って就職良いって言うもんね」
「まぁ、キツいですからね」
こんなの、彼が聞いたら笑うんだろうな。彼はいまでこそ平和だが、それまでが殺伐としていたらしいから。
「彼はね、ベトナムの宗教施設で育ったんだよ」
「え、あのお坊っちゃん!?」
「そう。まぁベトナムだし宗教施設とは名ばかりで実際には日本人収容所と言ったらいいのかな。
僕はその頃、まだ|三等海尉《さんとうかいい》でね。日本政府がそのクソ団体を滅ぼしに行った時、防衛省でカチャカチャパソコンをいじって雑務をこなしていましたよ」
「はぁ…」
「そしたら樹実が子供を一人拾ってきた。珍しいこともあったもんだ。何があったんでしょうね、あの子」
何か惹かれたものがあったのか、それとも単に樹実の気紛れなのか。
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