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「指揮官は、貴方でしたっけ?」
「ええ、はい」
「俺ら、踏み込めって言われたんですが、間取りとかありますか?」
「あぁ、はい」
「オマタセシマシタ」
悠長に聞いている場合ではなかった。
片言な日本語が背中から聞こえてくる。
気配なく迷彩服の武装した黒人が立っていた。気配がない癖に圧倒的な存在感。「うわっ!」現場指揮は飛び退く。
相変わらずタチの悪い。
「ルーク…」
「Hello!」
「はろーぉ。久しぶりー」
驚いて無線を落とす流星と呼ばれた青年と、案外平気そうな女顔。女顔の方はやはり肝が座っているらしく、ルークと呼ばれた外人とがっつり握手していた。
「久シブリだねジュン!リューセー!」
「お、お久しぶりデス、」
「ホントに来やがったね!流星ビビってるよルーク!」
「アラぁ、テカもう終ワッタ?」
「今から」
「何シテンダヨ!早く行クよクソガキ共!コイツら誰!?」
何故か黒人の矛先が現場の警察官にまで向いた。
怖すぎる。今までニコニコしていたのに急にキレ始めたがこいつは所謂あれか、ジャンキーなんだろうかとぼんやりその時の指揮官は考えた。というよりあまりの非現実に頭がついていかなかった。
「この人達は普通のポリスだよルーク。撃ち殺さないでね。
潤、もう行こう。俺怖い早く終わりにしたい」
しかも内容が不穏当。最早止めるのもバカらしい。
「ハーイ。行きましょー」
そのまま彼らの背中に、警察は検討を祈って敬礼することしか出来なかった。
「ソウ言エバさぁ、princess潤」
「はーい、なんでしょうMr.ルーカス」
「この前ノ子ドウダッタ?」
なんと言う話をしているのか。仮にも今立て籠り事件の現場なのだが。
「めちゃくちゃよかった」
「Oh,やっぱりネ。あノ子多分Best muchだと思ったノよ」
「やっぱ白人は違うねー。もうヤバイ。デカい。無茶苦茶にされたわ」
しかもなんという下品な会話。
「お前らマジ勘弁してよ」
「なんでよ、久々だし今しか会わないでしょーが」
「そうだけど」
「因みにルークさ、あの子パターンだとどっち?」
「ワタシはいつでもマウント取るよ」
「まぁ怖いもんね」
死ねばいいのに二人して。
「いーかげんにしてくんねぇかな」
「つまんねぇ男だなお前は。モテないよ」
流星はイライラしてタバコに火をつけた。この前樹実に貰ったジッポライターだ。
「ワタシは流星好きダヨ」
「マジか。危ないね流星」
「何がだようっせぇな」
「日本人はマジメでイイよ。気遣いもスバラシイよ。
潤チャン一度その時、ワタシ感激シタヨ!」
「まま、今はほら、お仕事しよっ」
この瞬間だけはまともなことを言う潤に少し関心。
入り口付近に来た時、銀行のドアに穴がひとつ空いた。割れ方から見て内部からだろう。狙撃技術としては0点。だがどうやら…。
「Oh,挑発デスかね」
ルークの、低すぎる沸点にはあっさり到達してしまったらしい。威嚇としてはどうやら10点。
「Go to hell!」
ルークが雄叫びを上げてピストルを抜き、何発か連射。後にドアを強く何度も蹴っ飛ばす。
ゲリラかよ超怖ぇ。
これは絶対に相手は怖い。最早ホラーだ。
「Kiss my ass!Yellow monkey!
(くたばれイエローモンキーが!)」
「Don’t you dare!(やめてよ!)」
「Son of a bitch!(くそったれ!)」
「さっきまでの親日感情が一気に消え失せたね」
「いやお前もどうにかしろよ!」
流星がどうにかルークの暴動を止めようと、しかし怖いのでやんわりと腕を掴む程度にして宥めているが、潤はそんなのお構いなしに小首を傾げて「I don’t give a damn.(しったこっちゃねーし)」。腹が立つ。
「死ねてめぇ潤!」
「Fuck!Fuck!」
「Cut it out!(やめろって!)」
ルークは全然やめてくれる気配がない。最早どっちが凶悪犯で公安だかわからない。
「あーもう。シャラァァップ!」
ついには傍観を決め込んでいた潤までルークの腕を引っ張り、やめさせようとする。
随分蹴っ飛ばしたはずだ。
最終的に引き剥がすように二人でルークを羽交い締めにした。
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