3
****
「あーあ」
「予想以上の単細胞だな」
「そうだよ。まったく」
「潤、」
「あい、なんだい」
暁子はふとタバコに火をつけた。
「よかったな」
「なにがよ」
「珍しくちゃんとした上司で」
「ちゃんとしてねぇよ、腐れ縁だよ最早」
「で、なんでお前突然出てったの」
「うーん…」
答えたくないなぁ。
「まぁ、あたしはあぁはなれねぇな」
「は?」
「良いヤツ見つけたな」
「いや違うよ」
「は?じゃぁなんでよ」
「うーん。
答えたくないけどまぁ、暁子といるのは胸が詰まるから嫌だ」
「…そうか。バッチリ答えてんじゃねぇか」
「暁子のことは好きだよ?お前案外良いヤツだし。だから嫌なんだよ」
「お前ってホントなんか…繊細で臆病モンだな」
「うるせぇな」
「潤、あたし結婚すっから」
「はぁ!?え、まさかヨリコ?」
「うん、サイパンで」
「うぎゃー、おめでと。
じゃぁいいよ、内緒で一役買ってやるよ。あれだろ?最後の仕事なんだろ?」
「よくお分かりで」
「その反政府運動、俺嫌いじゃないよ。ウチの部署そんなんだし。連絡入れといて、その速見って野郎に」
「いいのか?あの兄ちゃん多分キレるぞ」
「言われる筋合いはないな」
「そーゆーところがお前のダメなとこだな。言わなきゃよかったよ」
俺も戻ろう。そう思い、暁子より先に喫煙所を出た。
祝儀って果たしていくらくらいかな。サイパンまでは流石に行けねぇな。
しかしよかった。そこまであいつが立ち直ってくれたとは。
昔のあいつには多分無理だ。そして会うのは毎回、出来れば最後にしようと思う。だがあいつは、何だかんだこうして、俺みたいな奴の生存確認なんかしやがるんだ。
「んな易々と死ねねーよ」
今は。せめて、今だけは。
- 161 -
*前次#
ページ: