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「…あぁ」
「…そもそも今回の立て籠り、一人で出来るわけないよね?多分、やつらが後ろ楯なんじゃないかって」
「…それで俺たちが派遣されたわけか」
「多分ね。
 こっからは俺の勝手な捜査と偏見だけど…。
 多分、やつらは警察関係者なんじゃないかって。今回脱獄が成功したのも不自然な点が多すぎるし」
「お前、あれから調べてたのか」
「…まぁ、少しだけどね。自由が利く身じゃないからホントに微力だけどね」

 7年前の事件…。
忘れもしない、少しだけ国が傾くような大事件。

「FBIというのも名ばかりというか、なんなのホント。これだって、ほぼ警察だし、死刑執行人みたいなもんだと思わない?」
「…潤、口は慎めよ。俺らだってどこで幹部から盗聴されててどこで射殺されるかわからないんだから」
「そんな良い子ぶったこと言ってにやけてんじゃねぇよ、鉄面皮が」

 相変わらず口が悪い。
 ホント、黙っていればモテるだろうに。一度喋れば胡散臭い喋り方だし、性格破綻が滲み出てしまう。

この感じ、久しぶりだ。

「流星《りゅうせい》、」
「んぁ?」

 タバコを咥えたタイミングで急に呼ばれ、返事にどもる。

 潤は、まるで人を突き刺すような、澄んだはっきりとした瞳で俺を見つめて来る。
思わず、俺は潤から目を逸らす。

「どこ行ってたの」
「内部秘だ」

 そう告げれば潤は、口元だけで緩く笑い、

「よく言うよ」

 それ以上干渉をしてこなかった。

 車の外を見ながら思わず欠伸をすると、「緊張感ないねぇ…」と、呆れたように言う。
 久しぶりにこんなに平和な街を見たような気がする。

「ここは平和でいいや…」

 間違っても横から射撃されたりしないからな、この母国は。

「人質は何人いるんだ?」
「ざっと580かな」
「何階建て?」
「15」
「へぇ…。てかフロントマンは何してたの?」
「さぁね。
 今回一番厄介なのは官房長官ファミリーが泊まってたんだってよ」
「うわぁ厄介。仕方ねぇな」

 鞄からパソコンを取り出して、車のアダプターに繋ぐ。一般車両にはない機能だ。
 そこから無線ケーブルに繋ぐ。
 パソコンに、パスワード画面が現れた。

「あ」
「なに」
「結構離れてたからな。パスワードなんだっけ」
「…ne480re900」
「うぃっす。FBI無線然り気無く切った?」
「当たり前でしょ。何年お前と一緒にやったと思ってんだよ」
「うわ、流石だね」

 そこから現場付近のそれっぽい無線を1つキャッチ。イヤホンマイクをつける。
 雑音的に恐らく現場だろう。捜査車両だな。話してる内容が丸聞こえだ。

「あー、もしもし、聞こえますか?」
『えっ、』
『なっ』

そりゃぁ驚くよな。

「落ち着いて聞いてください。今回捜査協力、指揮官を依頼されました連邦捜査局のスミダと申します。ただいま現場に向かっておりますが現場の状況を教えていただけますか?」
『えっ』
「…お前いつも思うがバカなんじゃないの?マジで」
『は?あんた誰だ?』

 一度マイク音量を下げ、潤を見る。

「こいつらバカなのか?」
「いやお前だよ。急に無線ジャックして現場状況なんて聞いたらさ、テロリストかなんかと勘違いするでしょ?一般の警察なんて。てか無線ジャックすら多分よくわかってないからねこの人たち」
「そんな無能なの?」
「お前よりはね」

 作戦失敗。

「…FBI無線入れて説明するところからなの?これ」
「それは流石にないでしょ」
「あー、なるほど」

 再びイヤホンマイクをオン。

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