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「納得いかない」
「あっそう興味ない」
「潤さん、俺たち仲間じゃないの」
「前はね。俺一般のFBI市民だし」
「一般じゃなくないですかぁ?」
「一般じゃないよ。で?
 仲間なら待ってろって言ってんのなんで伝わらないのお前らだから使えねーんだよ単細胞部下」
「政宗さんなんとか言って」
「無理だな、こいつ相当わがままだもん姫だもん。
 姫ー執事の俺はいるんすか」
「洒落にならねぇ冗談クソつまんねぇ。マジデジャブかし」

 …なるほどね。

「デジャブ?俺それ知んないわー」
「は?なに?ぶっ殺すよ?」
「つかお前の方が色々デジャブなんすけど意味わかりますか」

 潤は黙り込んだ。
 ったく。

「ふざけんなよ」
「じゃ、お供しまーす」
「はぁ?」
「お前あてにならねぇっつってんだけど猿頭。ゴリラくらい頭使えよ」

 停車した政宗は悪態をつきながらも案外優しい表情で、「デジャブならこんなんいらねぇな」と、ダッシュボードにパファイファーツェリスカをしまった。
 
 これは正直慣れねぇんだわ。

 支給品のM84の弾を確認しながら「殺しに行こうとするのが悪い」と政宗はぼやく。

「多分お前らを密葬だ水葬だのやる頃には、こいつらみんな死んでるから、自由に葬られてぇならまず生きて帰ることだろ。敵地で甘ったれてんじゃねぇよ」
「ったく、」

 ヘタクソゴリラ。

「あんた間違いなくセックス下手だろ」
「試す?」
「死んじゃえ発情期」

 ふと後ろを振り向けば「呆れた」と瞬リボルバー、44マグナムの弾を抜いて手を出してきた。

「は?」
「使い道あれば」
「どう考えてもないよね」
「ロシアンルーレットとかにどうぞ」

 …ロシアンルーレット、か。

「あ、じゃあ俺も一発」
「いらねー、マジいらねー」

 その瞬の掌に諒斗は弾を転がした。

「…あたしはぁ、一言ぉ。
 まだ返事受理してませぇんと」
「…霞ちゃん、言おうと思ってたけどゴリラの精神だよね」

 言いながらその弾は渋々受け取った。
 不謹慎にも微笑ましいもんだと政宗も横目で見たが、伊緒が「どっちでもいいんですけど」と、ポケットから樹実のジッポライターを取り出したのが見え、投げるように潤に寄越した。

 「あっ、バカバカ!」取り損ねた潤はそれを拾っている。

「バカなのお前ら!」
「誰のせいでしょうね。あとでご教授願いましょうか」
「…あ、」

 ちょっと言葉に、詰まったようだ。一瞬俯いてから潤は「…そ、」と続けた。

「バカな、部下を、持つと…」

 沈黙が流れる。
 だが、あげた顔はスッキリ、儚い微笑みだった。

「…まぁ、これで最後がいいな。
 終わらしてくるよ。そしたら…疲れてるから二度と会わないように、綺麗さっぱり」

 反論してやろうか。
 いや、

「…じゃ、」

 そう言って先に降りた潤を追うように、政宗は、「またな」と言い残し車を去る。

 待つしかないが、
 そうだ、二度とこの集まりはない方が、いいのか。
 寂しくも、吹っ切れたようなものが、残された部下たちにはあった。

「なぁ潤」
「…なに」
「まぁ、お前って綺麗だよな」

 …は?

「なに、」
「でもかっこいいな、初めて抱いてくれって思った」
「冗談よして、潰れる、多分死ぬ」
「冗談だからまともに返すな淫乱」
「はは…、」

 なんだか。

「ふっ、」

 何故だろうか。
 笑えてきた。
 有象無象な癖になにかはっきりと掴んだような気分になった。

「…最後にしような」

 そんなの。

「…うん」

 当たり前のことだ。

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