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 風呂からあがると真里は、またつまらなそうにテレビを見ていた。顔をあげ俺をまじまじと見たあとすぐ目を反らしてしまった。

「なんだよ、人を幽霊みたいに…」
「いや、別に…」

 なんか変だ。ちらちら人のことを見てはまた下向きやがる。

「変なの。
 コーヒー飲む?」
「うん…」
「砂糖とかは?」
「いらない」

 取り敢えず俺はミルクと砂糖をいつもの量で入れ、真里にはブラックで出した。

「ダメだ…」

 何がだ。

「ギャップ!何コーヒー牛乳って!そんななんかさ、色っぽい感じのクセに何あんた」
「…なんだよ!」

 そう言われると恥ずかしいななんか…。

「熱いやん…」

 やっぱりなんかにやにやしてんな…。ちょっと居心地が悪くてテレビを見る。ニュース番組だ。確かに凄くつまらなそう。

「テレビ見てる?」
「ん?別に」

 テレビ消してCDをかけた。10年近く前に解散したマイナーバンドのアルバム。

「そう言えばこの家、時計ないね」
「あ、あぁ…」

 おそらく、CDプレイヤーに表示された、15:24と言うインチキすぎる時刻表時にそう言ったのだろう。

 ケータイを見て真里は笑った。

「すげぇ根拠のない時間だね」
「うん」
「光也さんが設定したの?」
「これどうしたんだっけな…。
 あ、一回ブレーカー落ちた時だっけな。なんかバグったんだよね。でも別に見ねぇからいいやと思って」
「でも時計ないととっさに見ちゃって焦らない?」
「いや、慣れたし、あまりにも違いすぎてなんとも思わない」
「あっそう…どうせだったら合わせたらいいのに」
「うーん。俺そもそも時計ってのが好きじゃないんだよね。なんか時間っていうのが」
「あぁ、なるほど…」

 真里は何かを一人で納得したように頷いた。なんだろ、なんか悟られたな。

「歌詞カード見せてよ」

 ベットに座る真里に歌詞カードを渡し、俺はそのままうつ伏せ状態で寝転んだ。

「CDいいの?」
「そのうち消えるから」

 そのうち眠くなってくる。

「今日はいい夢見れるといいな」

 その言葉を最後に、俺は意識を失った。

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