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さぁ、ハリケーンがキテます。
俺はその中を裸で歩いちゃぁいませんが、今動画再生しているこいつ、このキメ顔童顔でバカみてぇなハイパーテクニックコードを死にそうな声して歌っちゃってる、髪染めする前の過去のこいつをニヤニヤしそうな心境で眺める変態眼鏡と化した俺はそう、電車の中です。
動画を上げてくれたGenG、ありがとう。
俺は昨日こいつ関連で悲しいことありまくりでけど前向けて、なのに朝方記憶にないまま押し倒しちゃってぶっ叩かれ、俺ってマジサイテー死ねばいいのにみたいな嫌悪感を抱いたばかりなんですよ意気消沈なんですよ、それがなんですかこれイキそうチン(自粛)ですよ。
えぇ、擦れてます、擦れてます。いまこうして会社休んで俺はなーぁにやっちゃってんのぉ?昼間から、おい昼間から。
バカみてぇに泣きそうになってイキそうチ(自粛)コで向かう先はライブハウスならよかったなぁ、クソ程くだらねぇクソド田舎の|福岡《ふくおか》のクソ実家ですわ。
Fucking of the jikka from Fakataですよ。
ここ発音ファカタぁ!謝らねぇぜってぇ誰にも謝らねぇぜ仕事休んでるしさ。
事の発端からいまに至るまでは実に急速だった。
昨日、突如昼間に、とても懐かしい人物から電話があった。
あまりに連絡を取り合わないせいか、電話番号すら登録されていなかった。
最初は出なかったのだが、あまりに何度も何度も昼にダイレクトチョップをされ、頭に来て一度出て困惑した。
『もしもし|昴《すばる》?』
誰だこいつは。
「オカケニナッタ」
『おいバカ寂しいふざけんなっ、俺だっつーに、あん、|太一《たいち》!』
「は?」
あぁマジか。
浮かんだビジュアルは高校生の、野球部坊主なあいつ。しかし声がなんかちょっと低いんですけん。
「え?」
『太一!フルサト!』
何それ。
外人チックなノ?ソレとも故郷二いるアイツなノ?
「県庁所在地は?」
『ふァ!?福岡!にしゃ(お前)ボンクラにしてんか?
にしゃん従兄弟ん太一ばいボンクラぁ!これでどうじゃぁぁ!』
痛烈だわ。
痛烈過ぎてダイレクトに田舎のせせらぎが浮かんだわ。
「えマジで?」
『嘘ついてどうすんだよバカ!金無さそうなお前から詐欺ってもしょんないちゃろうのぉぉ!』
Oh,you knowぅぅぅ!
「太一〜!」
「なんや!」
「久しぶりやね!どげんしたん元気げな健康?俺嬉しかちゃ泣きそうっちゃがどげんしよー」
「うるせぇうるせぇ死ね番号すら登録してないんかい、ボンクラぁぁ!今そいどこじゃなかんばいぃぃ!」
ここからスーバル翻訳によりますと。
|古里《ふるさと》本家が掲示板よろしくな大炎上中。誰がガソリン撒いたかって?
ガソリン撒いた、と言うよりは元あったガソリンが劣化した、それに気付いたヤツが喫煙者でたまたま吸殻捨てたら一家が燃えた、みたいな状態。
その劣化したガソリンはズバリ、みかんばばあ、祖母のサチ子である。
なんでもみかん(以下略)は、どうやら多額の遺産を残していたらしい。
サチ子は一応一家の総督的な、なんというか総合してもその遺産を次ぐ率No.1的ポジションにどうやら立っていたらしいが、(詳しくよくわかんない複雑すぎる)俺はそれを知らなかった。
何故か。
みかんは黙って俺に、自分が死んだら丸々ぽーんと、そりゃぁもう何千人の|諭吉《ゆきち》を用意していたのだが、親戚、どのタイミングかわからんがそれをたまたま嗅ぎ付けてしまった。
予想するにみかんがボケて口を滑らせたと見える。
しかし、古里一家、みかんを筆頭にわりと、ゲスいレベルでろくでなし集団だった。
最早俺に知らせることなく使い込みまくる、ばばあはボケてる、しかし正確にいくらあるのかばばあもボケてて曖昧。
結果。
多額の借金が出来てしまった。
それで急遽、私に飛び火した、というわけであります。
初めて知りましたが遺産というのはですね、借金も相続になるんですね。うぇーい。
しかも厄介で、皆様ご存じ、みかんばばあ、まだ生きています。
死んだ時どーすんの?てか待て俺かよ、という話なのですがキチガイ本家の主張は、「いや、ばばあ痴呆だし」です。
ここに来てなにさ全く。最早本家に精進しろだのなんだのうるせぇうるせぇ。
しかし太一くん、ここでよしみ、少し悪魔の囁きをくれました。
「ババアん遺産は俺の告ごう。一応はまぁ長男ん息子やし」
「いやいや太一、それは…」
だってお前、そこは離婚してるやん。
「だから二人で、行くんばい」
「は?」
「俺はほら、本家ってぇかババアによか思い出がなか」
「まぁ…」
「だから昴は、ババアば世話しよった体で来る、てめぇらどえなっちんだ!
俺現る、カオスる、とごえる(暴れる)、家督放棄、二度っち敷居ば跨のなか、どげん?
いわちゃくば(あわよくば)、本家んこつだ、借金だけこいに来てあっちがっぽん可能性もあっけん。
そいのあっけんなら昴、完璧に物にしてこいちゃ。俺はこん機会に完璧に断絶、お前はこん機会にいわちゃくば金もろうて断絶。どげん?
いっち実はだな、ばばあな、多分めちゃくちゃ生命保険入っちるっぽい。受取人お前で。こそっとな」
「えぇぇぇ」
「多分こうなりよったっ時んこつば考えたんやろ。そいもはっきりさせてこちゃ」
「太一…」
それじゃぁ…、
「それじゃぁ太一が損をするじゃないか、借金だけ被って」
「だから二人で、行くんばい!」
「は?」
「そげなキチガイのいる親戚に借金だけ継がせる
あり得るか?」
「太一…」
「んー?」
「トリッキーすぎる」
「まぁよか、まずは会おう。リメインダー・オブ・|敏郎《としろう》だけん!」
すげぇついていけねぇけど。
果たしてこれは行ってもいいのだろうかと思っていたら「東京に観光しに行こうかいな」とか太一が言い遊ばしたので、仕方ない、行くかといまに至るわけである。
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