金木犀×日本酒


金木犀

芳醇、金曜日と木曜日の謙虚な陶酔に初恋の味を見る。
 貴方はいつも喉通りが焼けるように、時に水のように泥酔して午前2時に帰ってくるのだけど何か懐かしさを思い出す、この部屋のこの時期のこの臭いは果たしてなんだったかしら現在夕暮れ前の午後4時の夕焼けこやけが響く土曜日に嫌気がさして電話をしてやろうかと考えたけれど私の静かな秋の薄暗い覚めた二日酔いのような頭痛はくらくらして傾斜15〜25°なのかしら、今日は遥かに低血圧で血液の逆上を押さえてるけどこの香水の臭いは女のものかしらあぁ気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い、アルコールで消毒したお風呂場の私の嘔吐はどこまでも気持ちを消し去るほどに豊潤、
 昨日は何をしたのか全く覚えていないのだけどリビングにぶちまけられキラキラ光る香水の瓶にそうだ、珍しく貴方は午後23時に帰宅して私にこれを捧げたわよね、酔っぱらって気色が悪くて何処の女とも知れぬ臭いに私はどう忘却したのかしら。

 あぁそうだ、思い出した。

 小学校に生えてたあの木。むず痒くて、けれどそうなの、甘くて、どこか今年の終わりは近い、花の散りも冬の前も思い出す、何故だか切なくなるこの臭い。私はたまたまそこに飼っていて死んでしまったハムスターのお墓を作ったの。
 眠ってしまったように見えたハムスターはきっとこの臭いに酔ってしまうだろうなと、部屋に少し混ざるアルコールの臭いに、香水の瓶と一緒に床に投げられた大吟醸の割れた瓶が目に入った。
 ハムスターは寝ているように死んでたけどね。
 多分ねこいらずを食べて死んだのよ、見た目は残忍で外に転がっていたもの。

 なーんだ、夕焼けこやけ。夜が迫る。

 嫌いなのよね。

 むせぶ腐乱死体のようなこの甘ったるい、鼻につく臭い。
 忘れちゃいなさいよと、酒の力を借りた昨日を思い出した。

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