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死んでしまった。

らしい。

「なりた、」

名前はよく知らない女だった。
ただ彼女は俺に名乗った、「なりた」と。そのまま気付けば3日を過ごした。

今日はどうやら彼女の誕生日だったのだけど。

薄く目を閉じた彼女の、白い頬を撫でる。青いシーツがよく映えて、覗いた、顔の横にある折れそうな白い腕と細目の、まだ傷まない染めたての髪に命を感じるはずだった。

のし掛かって手を絡ませ、耳元に息を掛けて耳を済ませて感じた、無音の無呼吸と暖かい鼓動すらない滑らかなはだ。

「ねぇなりた…」

私を、愛すことができたなら。
貴方を私は愛することができない。

所詮はただ、一人でバーで飲んでいた少しだけ異風で好みだった女を引っかけただけだったんだけど。

「どうしたのこんなところで」

目を細めた彼女は薄く笑った。白いワンピースが綺麗。ただ、華の色がわからなかった。そして唇の前に右手の人差し指を斜めにさしてジェスチャー。首を緩く横に降る。それだけですごく、新世界だった。

「一人?」

頷いた彼女はメモ帳とペンを、膝に置いた、緑色の鞄から出して何かを書く。

『貴方のお名前は?』
「蒲田。草冠に浦と田んぼの田」
『目の色が薄くて綺麗。いくつですか?』

少し誤魔化した。2と5。ホントはもう少し良い歳。こんなところでこんな風に好みの女をナンパして良い歳ではない。

「君は?」

彼女は少し目を伏せた。言いにくそう。きっと年下なんだろうけど。

なんとなく、その雰囲気。ぎこちなくて。もしかしなくても。

「まさか、未」

そう言うと慌てて首を振った。そして2と0。そしてあどけない笑顔。

本当に軽い気持ちだった。

「ねぇ、暇?」

誘ってしまった。

仕方ない。
だって白いワンピースが綺麗で。
黒い宇宙の心理のような目がアルコールを刺激して。

なにより声を聞いてみたくなった。

しかし彼女は黙って薄ら笑いで困っていたから。少し二人で飲んで、「その白いワンピース、似合ってる」だの、「茶色い髪が嫌味ないね」だの、わりとストレートに褒めたくった。

すべてにおいて困った顔をされた。
これはノーチャンかと思ったとき、ふと方に手をおかれ、紙にまた何かを書く彼女は。

『色が、わからないの?』

この質問に、息が詰まった。

「…あ、もしかして」
『薄ピンクなんです。桜色。春だから。このワンピース。
別れた彼が去年の今日、買ってくれたんです。3日後の誕生日のために』
「…へぇ」
『暇です。3日くらい』
「ああそう」

耳に掛かる髪を撫で、頬に触れればくすぐったそうに笑っていた。

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