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アカネさんは佐藤母を見、次に父さんに頭を下げ「…すみませんでした」と謝ってきた。
「お疲れアカネちゃん…学は…大丈夫じゃなさそうなの?」
「…検査しながら数日入院です。頭バチクソにぶん殴られたようで」
「……マジで!?え、後遺症っつーかアレは…」
「わからんですけど骨折ったりはしてなくて…そもそもいま鎮静剤で寝てるんすけど……。
幸村くんは大丈夫ですか?倒れたって…」
「あー…多分ユキは今日は安静だけどすり傷と…頭は打ったけど骨折とかなんもない。心のやつだね。
今のところユキの話だと……ユキは殴られたり殴ったりしてない?」
「……わかんない、止めには入ったからこれをなんというのか…」
「……ちょっと、話進めないでよ!ウチの子頭突きされたって、」
「あ、頭突きというかだから学くんが…なんというか佐藤くんの胸あたりにこう…倒れた時に頭が胸付近にガツッと入っちゃって……」
ふと空気が凍り、アカネさんが佐藤母を見、「あどうもこんにちは佐藤さんで合ってますか?」と冷たく言った。
「平良学の母です。息子さんの体調はいかがで?」
「は?血ぃ付いてるし頭打ったらしいけどっ!」
「ウチの子指切れてんで、じゃあウチの子があれだ、指切った後に胸ぐらでも掴んだんですかね?
ギターに血が思っクソ付いてたけど、こすった感じにベターっと。クロムやめた方がいいかな。
見りゃわかりますがウチの子がギターで殴ったわけじゃねーですねあれ。見ます?あ、角がすれててなんとなーく頭の傷も角っぽかったっつーか?バカでも見てわかる感じなんで多分殴られた側っすね、医者も「強打されただろう」と。こっちはぶち折れたとかはないですが佐藤くんは?」
え、指切れたとか色々聞きたいけど雰囲気が本当にヤバそうだし父さんも手を繋いでくれて…かなり真剣な顔で母二人を見ている。
「む…胸打ったから今日は入院なの!」
「ろっ骨心配っすね、どうでした?」
「……あんたに関係」
「ありますけど。医療費とかで。
…曽根は…曽根崎さん」
「えっ、あ、はい」
どうやら呆気にとられていたらしい。
そのままアカネさんはガバッと頭を下げ「も〜〜〜しわけありませんでしたァァ〜〜!」と再び…更に謝ってきた。
「え、いや、多分ウチのが一番軽」
「そっちはホンット良かったんですがな〜〜に言ってんすかアレ、今30万っすよね、ぶっ壊れたって」
「あ、由亜ちゃんに見てもらったらまぁジャックとピックアップセレクターとストラップピンが壊れてて…4弦と3弦のペグが超ズレてたらしいってのは聞いて」
「なんでっ!?そんな上から下までぶっ壊れてんのなんでっ!?え、ケースに入ってたって」
「蹴っ飛ばされた…落とされたし」
「はぁ!?マジで……え、マッジ何それぇぇっ、信じらんないっつーか幸村くんだってそれ、パパ記念ギターじゃ」
「……はい。
え、父さん本当にそんなに」
「らしい…」
「ええっ!なっ……」
言葉を失った。
ヒドイ…それもう使えないじゃん…。
いや待て。
「でも、オレより学くん、頭とかガツンって…」
「あー……まぁうん。それはそうだけど…。
ギターならウチのより幸村くんの方が高いから…ウチなんてストラト」
「いやアカネちゃんそれピンキリってゆーか確か昔アカネちゃんが使ってたヤツだよね、辞めた記念?にって、後生大事に学が使って」
「言うて死んだ木っすから、元からすれてたしそんなに」
「なんの話して」
「賠償金だよっ!あのなぁ、ギターってたけーんですわ、わかんねぇだろ人殴る武器じゃねーんだわウチのは鋭利なの横っ!首痛めてっかんなウチの学はっ!何してくれてんだおい!」
「賠償金っ!?」
佐藤母はしかし「そんな…高いの持ってくるってか子供に持たせる!?」と…論点がなんかズレているような…。
でも確かに…学くんのだって「ママ記念」だったような…。
「はぁ!?まぁ確かにそうだけどいいか!?車と同じなんだよ高いの使えばなぁ、使い方が丁寧になるんだわあんた運転出来る?中古車派?」
「アカネちゃん待った、微妙に論点ズレてる!」
流石に父さん、間違いは正すらしい…。
「確かに佐藤さんの言うことも大いにわかるけど、平良さんの言い分もわかるんですよね。お宅は安い物だと人の物でも壊してOKなんですか?」
「はぁ!?なっ…そ、」
「あぁ、すみません、揚げ足を取りましたが、まずは怪我、命でしょ。
ウチのは重いギターではあるが、平良さんのはこう…鋭利なギターだから…事の重大さで言えばブラウン管テレビで殴られたか液晶テレビかみたいな事で」
「いやテレビってなんだし」
「あー話ズラさないで。とにかく、厚みがあるものでやられたか尖ったものかって意味なんだよ佐藤さん。で、尖った物で…えー、どうやって殴られたの?」
こちらを見るので「丁度…くびれ部分で…」と言えば「え、よく見えなかったけどどっち側っ!?首折れてなかったんだよね!?」と驚いている…。
「あー…左っす、ははっ……。
首持ってかれてはいなかったですが打ち身というか…」
「は!?え、怖っ、それこそ部品ぶっ刺さったりしてないの!?よく首持っていかれなかったってぇか……ギターで人殴ったことないから月並みのことしか言えんけど…」
「部品までは大丈夫…確かにセクターとか目に入りそうか、まだ良かったぁ………真っ直ぐ一直線にいったからかな…」
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