『ここかぁ!』
私は神楽ちゃんが書いたであろう、少し歪な……。
いや、だいぶ歪な地図を見ながらなんとか万事屋に着いた。
看板には万事屋銀ちゃんと書いてある。
『万事屋は上の方なのかな?』
階段を上がって、インターフォンを押そうとした時……。
ガラッ!
『キャッ!?』
「うおっ?!」
いきなりドアが開いて、銀髪の天然パーマの男が出て来た。
「えっ!? 何? お客さん?」
『いえ、あのっ……』
いきなり出て来た人は私の事をお客さんと思ったみたいだ。
客じゃないと言おうとしたとき、奥から男の子の声がした。
「銀さ〜ん、どうかしましたか? 大声だして」
この天パの人は銀さんと言うらしい。
銀さんの後ろから足音がする。
「あっ、お客さんですか? 銀さん何ボーッとしてるんですか! どうぞ中へ!」
出て来たのは、眼鏡を掛けた男の子だった。
男の子も私を見て、お客さんだと思ったらしい。
『あの、私客じゃないんですけど……』
「え? じゃぁ何しに?」
『ココに神楽っていう女の子が居ると思うんですけど……?』
「神楽ちゃん? 神楽ちゃんなら居ますけど……」
『呼んでもらえませんか?』
「別に構わねーよ。おーい神楽っ! お前に客だぞー!!」
銀さんが神楽ちゃんを呼ぶと、奥の方から声がしてきた。
「なにヨ。五月蝿いアル! 今、良い所だったアルヨ!!」
「また昼ドラ見てたのか? 見るなったろーが!!」
「何でヨ!? あのドロドロ感が堪らないアルヨ!」
「だから、それがダメなんだろーが!!」
「二人ともいい加減にして下さい! 神楽ちゃん、ドラマの事なんかどうでも良いから、神楽ちゃんにお客さんが来てるよ!!」
「五月蠅いネ! どうでも良いとは何アルか!? ダメガネのくせに!!」
「メガネ関係ねぇだろ!?」
『ふふっ!』
私が笑ったら、トリオ漫才をしてた三人が私の方を向いた。
私を見て、ビックリしてる神楽ちゃんに
『神楽ちゃん! 久しぶり!!』
私は、微笑みながら久々に会った妹に抱きついた。