さて、万事屋に到着し小一時間、坂田さんと新八君神楽ちゃんと口論していた。

『だからですね、神楽ちゃんが居たら食費など大変ですし……、お父さんにも連れて帰ると約束してしまったし』

どうしようと悩む私に対して、神楽ちゃんは絶対嫌だの一点張り。
新八君はいきなり過ぎますと、神楽ちゃんの
味方をしているし。坂田さんはどっち付かず好きにすればいいと言っている。

「私は神凪姐と一緒にここに住む為に手紙を出したアル! 帰る為じゃ無いネ!!」

『でもね、神楽ちゃん。お父さんも心配してるし、ここに居たら迷惑になるでしょ?』

神楽ちゃんの食欲は家族の中で一番じゃないかと思う。
私だって結構食べる方だ。姉妹だから似るのも仕方ない、でも他の二人は普通の地球人だ、今はまだいいかもしれないけど、後々みんなで飢え死になんて事になられたら……。

なんて思うといたたまれない。

『やっぱり、帰ろう! 飢え死には良くない!!』

自分の中でまとめてから発言したせいか、みんなぽかんとしている。

「いやいや、何故にいきなりみんな飢え死に?」

坂田さんは苦笑いしながらも、疑問を口にした。
そりゃ、思うよなぁ……。
思った事そのまま言っちゃったもんね。

『あ、いや、神楽ちゃんが食料を食べ尽くして飢え死にしてしまうかもと……』

「「……成る程」」

坂田さんと新八君がはもった。

やっぱり、あの食欲には二人も思う所があるんだろう。

三人で納得し合っていると少しの間黙っていた神楽ちゃんが声を上げた。

「いい案があるアル! 神凪姐もここに住めばいいネ!」

今度は三人で何を言ってるんだこの子は……、的な顔をしている。
そりゃそうだ、誰でも思うよ。

「神楽ちゃん? さっきも神凪さんが説明したよね!? いい案ってさっきと言ってる事と変わらないじゃないか!」

『神楽ちゃん? 新八君の言う通りだし、神楽ちゃんの食欲もあれだけど、私だって結構食べる方だし、部屋を見る限り流石に私まで住むのは無理に等しい気がするんだけど……』

私の発言に「え? そこなの?」なんて坂田さんがおどけて見せるけど、神楽ちゃんの言葉には顔に無理な事を言うなと書いてある、気がする。

「大丈夫アルヨ。銀ちゃんがソファで寝れば住めるアル!」

「ちょっとぉおお! 神楽ちゃん? ここは俺の家だから! なんで主人がソファなんだよ!!」

坂田さんは無理な事を言う神楽ちゃんに拳骨を喰らわせた。
当たり前だ、お姉ちゃんは殴られて当然の発言だと思う!
だから、助けられません!!

「いだっ!! いたいけなヒロインになにするアルか! てか、銀ちゃんがソファじゃなきゃ神凪姐も住んで良いって事アルね!?」

いたいけかは置いといて、坂田さんから揚げ足を取る神楽ちゃん。

おお、神楽ちゃんが坂田さんを押してる!
いつの間にか成長しているんだなぁ、なんてしみじみ考えて……、なんて思ってる場合じゃなかった!

『いや、だから、お世話になるのは迷惑だから、一緒に帰ろう? ね?』

なだめる様に言っても嫌々の一点張り。
痺れを切らしたのか、坂田さんが座っていたソファから立ち上がった。

「銀ちゃん! どうして駄目アルか!? 神凪姐と万事屋で暮らしたいネ……」

涙ぐむ神楽ちゃんに坂田さんは……。

「……お前の好きにしろよ。ただし! ソファは嫌だからなっ!!」

「あ、銀さんどこ行くんでっ……って、行っちゃった」

そう言うと坂田さんは万事屋を、出て行ってしまった。
一瞬何を言われたかよく分からなかったけど、神楽ちゃんが抱きついて来た時にやっと実感出来た。

神楽ちゃんが望んでいた通り、私もここに住んで良いって事、なんだよね?

「神凪姐! やったアル、一緒に万事屋で働けるネ!!」

頬ずりをする神楽ちゃん。嬉しさと申し訳なさで複雑だ。
坂田さんが帰って来たら二人でお礼をしないと。

『新八君、坂田さんの好意に甘えさせてもらおうと思うんだ。これからお世話になります! ヨロシクね』

神凪が微笑んで握手を求めて手を突き出す。
その微笑みに頬を染めながら新八も手を差し出す。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

「何デレデレしてんだよ、ダメガネ!」

「ぶふぉっ!」

ちょっ、標準語になってるよ神楽ちゃん!
てか、紛いにも夜兎に蹴り入れられて新八君大丈夫かな? 眼鏡、割れてるんじゃないかな……。

『取りあえず、坂田さんが帰ってくる前に夕飯の準備でもしておこうか!』

「やったネ! 神凪姐のご飯は絶品ヨ!!」

「僕も手伝います!」


連れて帰る計画は失敗したけど、神楽ちゃんと一緒に居られるし、お父さんには悪いけど、万事屋って楽しそう!

これから、お世話になります!

神凪は万事屋の銀時の机の上の「糖分」に向かって微笑むのでありました。


あれ? 作文?

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