罪深き子らよ、

うるさいッ!!


応接室から帰れば了平からの質問攻め。心配してくれているわけだし軽く事情を話せば保健室に行って来いと言う始末。

嫌、了平が心配してくれるのはわかるんだけど保健室に行くほどでは無いのに……治ってますって言っても信じてくれないか…それで結局迫力に負けて来て見たものの………… 


「帰れ。可愛い子ちゃんを虐める奴なんざ見る気はねぇ」


こちらを見向きもせず追い出そうとするシャマル。シャマルの背を見ながらこいつもかなんてあきれ返る。何度同じセリフを聞いた事か。

見てくれなくてかまわないが一応言っておく。


「私虐めなんてしてません」


逆にされています。…言わないけど。


「俺の親友は嘘は言わねぇ……。ボンゴレのお荷物はさっさと出て行け」


シャマルは手をぶらつけせた。最初から聞く気がないのだ。顔も合わせないほど嫌なのだろう。彼の攻撃を受けないだけましかもしれない。元々、保健室に用なんてないんだからさっさと退散するに限る。


「ッ、分かりました。ご迷惑掛けてすみませんでした」


美守は一礼をして保健室を後にした。シャマルは扉が閉まると同時に振り向いた。


はぁーー…


親友はあの黒木っつー女を沢田 美守から守ってくれと言っていたが、どうもいまひとつ納得いかねぇ……親友を裏切る真似はしたくないがあの黒木ってのは男をかどわかす事に長けていやがる。いろんな女を見てきたからな。それくらい分かる。

反対に美守ちゃんは真っ直ぐだ。逃げる姿勢は見せていない。なにか隠しているようにも感じたが、気のせいか……
 
どっちにしろもう彼女はここへは来ないだろう。久々に見た純情な子だったのに…… 

がっくりとシャマルはうなだれ美守が去った扉をずっと見ていた。




美守は保健室からでて真っ直ぐ教室に向かう。



 
「姉ちゃん!!」


ツナ……。


ツナと獄寺、山本の三人が離れた廊下の向こうにいた。三人とも表情が険しく、雰囲気が普通ではなかった。最初にツナが駆け寄って来て、手をふりあげた。 



パアアアーーーーン 



平手で叩かれる。びっくりし、叩かれた頬に手をあてツナを見た。ツナは、はぁはぁと息をしながら美守を見ている。


「今朝も姫香ちゃんを虐めたのかよ。いい加減にしてくれよ」


今朝?何のことだろう…と首をかしげた。今朝は雲雀の所に行って、攻撃され、少し前まで気絶していたのだ。ツナの言っている意味がわからない。


「何のこと?朝は雲雀の所に行ってたけど…」

「その前に姫香ちゃん所に行って叩いてきたんだろ!」


それこそ知らないし……………あっ…あの女!!

彼女の言った事をそのままツナは信じたんだね。確かめもしないで…



ぶたれた頬が痛い…。美守は頬に手を当て俯いた。
 

「ツナは……信じてくれないんだね」

「寂しそうに言ってもダメだ。姫香ちゃんに謝るまで俺は許さない」


ああ、そう…話しにならないよ。


「!っ、どこ行くんだよ」



「果てろ──」

「!?」


ドオオォーーン 



足元にダイナマイトが飛んできて爆発する。


「う゛あ゛、あ゛ぁ゛──」


咄嗟に顔は隠したけど力を使うのを忘れた。両腕、両足は火傷をし、ただれている。あまりの痛さにその場を転げまわった。廊下が血で汚れていく。


痛い痛い痛い痛いーー…… 


腕や足が熱いし痛い!声が出ない、否出せない!!!涙が出る。


「姫香さんを虐めたテメーは赦さねえ……」


煙と共に現れた獄寺 隼人はツナの後ろから来た。手にはダイナマイト数本持ち、直ぐに火をつけられる状態だ。


このクソ犬ッッ!!



「俺もいるのな」


ドゴォ 


ただれた腕をおもいっきり蹴られる。皮膚すらなく、肉そのものを蹴られ痛みなのか熱いせいなのか、なんなのかわからないモノが全身を貫いた。


「う゛っ、あ゛」

声にならない声を上げた。涙が視界をさえぎる中で山本 武が立っているのを見えた。


こいつら……


「姉ちゃん、獄寺君や山本だけじゃないよ。クラスの皆や雲雀さんが率いる風紀委員、それにボンゴレも今は姉ちゃんの敵だ」

「テメーが謝れば十代目は直ぐに赦すだとよ」

「人間素直が肝心なのな」


獄寺は眉間にしわを寄せ山本は笑顔だ。





我を忘れ、今すぐ力を使って殺してやりたいと思った。でも、ここまで頑張ってきたんだ。我慢しなくちゃ……

ぎゅっと唇をかみ締めツナ達を睨みつけた。



ツナはツナで私を冷たく見下ろし睨みつけていた。


「獄寺君、山本行こう。姫香ちゃんが心配だ」

「命拾いしたな」

「次あった時は容赦しないぜ」


三人が去るまで傷は治せない。早くいなくなって………と唇をかみ締めながらその場にうずくまる。足音が聞こえなくなって少しほっとする。



「っく……!!」


ただれている腕を必死に伸ばし力を使おうとした時だった。




!! 




コツ、コツ…… 




急に人の気配がした。






この気配は……